子どもの口と顎の異常・病変 口の粘膜 編
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57子どもの患者が来たら口のなかの粘膜の異常・病変口のなかの機能の異常・病変全身疾患(感染)による異常・病変10 ヘルペス性歯肉口内炎内山公男(歯科中橋,大阪大学先導的学際研究機構)ヘルペス性歯肉口内炎10ヘルペス性歯肉口内炎は,乳幼児がヘルペスウイルスに初めて感染したときに発症する.口唇やとくに前歯部歯肉にかなり強い症状が出る(図1~4).1〜3歳の乳幼児に急に39℃近くの高熱が出て,せきや鼻水などかぜの症状がないとき,そして通常ではない口内炎と思ったら,本症を考える必要がある.原因単純ヘルペスウイルス(HSV)Ⅰ型に初めて乳幼児が感染したときに発病する.潜伏期は2〜7日である.単純ヘルペス(Ⅰ型)は大人ではほぼ全員が保有するウイルスだが,小さいときに感染すると,ヘルペス性歯肉口内炎を起こす.感染経路家族(とくに母親)や保育施設などで,ヘルペスウイルスをもつ人との接触で起こる.唾液などを介しての接触感染,飛沫感染である.図4 頬粘膜の口内炎.図1 口唇に見られる水泡.図2 口唇や舌にできたヘルペス性歯肉口内炎については,症状が軽快した後もしばらくは黒い瘡蓋(かさぶた)が残る.図3 前歯歯肉の発赤と下唇に出現した多数の水泡様口内炎.

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