食べる力を失わせない
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013第1章 老いても「食べる」第  章1れます。「認知症」と一言でいっても、タイプや重症度によって食べる力の表れ方は異なり、性格や療養環境により症状は左右されるため、それぞれの特徴を知っておくことは食支援をする側にとって、介助の創意工夫と感性を養う観点から非常に重要です。ここからは4つの代表的なタイプ別にみてみましょう。a. アルツハイマー型認知症(Alzheimer’s disease:AD) 認知症のなかでももっとも割合の多いアルツハイマー型認知症の場合、目の前に食事を出されても食べ方(食事の進め方)や食事としての認識そのものが難しくなる傾向があります。特に、BPSDが強く影響すると、食器具の使い方がわからなくなって手掴み食べをしたり、食事パターンを忘れて一品食べをしたり、食物認知機能の低下から食物以外のものを食べようとする行動もみられます。 Hasegawaらの4)、アルツハイマー型認知症(Alzheimer’s disease:AD)と診断された22例を対象に行った嚥下造影検査(videouoroscopic ex-amination of swallowing:VF)によると、病期進行にともなう誤嚥の悪化は軽微であり、口腔や咽頭機能は比較的問題なく、大部分は食形態の調整で対応可能であったと報告されています。つまり、アルツハイマー型認知症では食事の認識など脳の働きが低下し、食べる機能が低下していることが多いといえるでしょう。また、一見、自力摂

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