ジルコニアモノリシックレストレーションコンプリートブック
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54Part 1-製作ステップにおける勘どころを知ろう シンタリング前後の形態修正・バイト調整執筆:峯崎稔久シンタリング前の形態修正 ミリング後の半焼結ジルコニアは軟らかく調整がしやすい。また、ミリングのみでは細かい部分の再現に限界がある。そのためサポート痕などはこの段階で調整し、必要があればフィッシャーバーなどで中心溝などの若干の形態修正も行う(図1~4)。その際、ジルコニアに指で直接触れると皮脂等の付着によりカラーリキッドの浸透が確認しづらくなってしまうため、ラテックスグローブなどを使用している。Chapter 3 形態修整・適合調整の勘どころ図1 サポート痕は除去しておく。除去には細かいクロスカットバー(約10年前に購入したもので名称不明)を使用している。図2 中心溝を付与する際にはフィッシャーカーバ(松風)を使用している。シンタリング後のマージン調整 シンタリング後のジルコニアはマージン部に厚みがあり、ミリング時のバーの痕やサポート痕が残っている。マージン部の調整は基本的には切削力の高いバー(ビトリファイドダイヤ、松風)、ダイヤモンドバー(DFSダイヤモンドバーISO277、DFS、カムネッツ)、ダイヤモンドポリッシャー(EVEダイヤポル、サンデンタル)の順で行っている(図5)。ただし、プレッタ4アンテリアなど高透過性ジルコニアは強度が低いため、プレッタジルコニアなど通常のジルコニアと同じように調整を行うとチッピングしてしまうことがある(図6)。そのため、プレッタ4アンテリアでは切削力の高いバーは使用せず、ダイヤモンドバー(DFSダイヤモンドバーISO277)とダイヤモンドポリッシャー(EVEダイヤポル)のみを使用して調整する。また、インレーなどは細かい調整が必要なため、細いダイヤモンドバー(DFSダイヤモンドバーISO238、DFS、カムネッツ)とダイヤモンドポリッシャー(EVEダイヤポル)のみの調整としている(図7)。その他に、削り出したままの面は凹凸が多くステインが馴染みづらいため、基本的には全面を調整する。図3a、b 中心溝の修正前(a)と修正後(b)。溝はすべて同じように入れるのではなく、天然歯のように深さや幅を部分的に強調するように入れることで全体のイメージが締まる。図4 天然歯模型。溝は深さや幅に強弱がある。12ab

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