ジルコニアモノリシックレストレーションコンプリートブック
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81Chapter 5 エクスターナルステインの勘どころ色の対比効果 隣接する色を同時に見た時に、色の違いが際立って見える現象を対比現象という。これは絵画で取り入れ色彩の調和方法 次に色彩の応用理論として、アメリカの色彩学者Deane B. Juddが提唱した色彩調和論に少し触れたい。Juddは、1955年にこれまでの色彩調和論を4つの原理にまとめている。・秩序の原理:一定の法則によって規則的に選ばれた色は調和する・なじみの原理:自然界にみられる色の変化や、見慣れた配色は調和する・類似性の原理:共通性がある色同士は調和する・明瞭性の原理:明快なコントラストをもつ色の組み合わせは調和するられる手法であるが、同様に歯科のステイニング作業においても効果的であるため、ひとつの表現理論として紹介したい。 この中でも、色相環を用いた秩序の原理について紹介したい。ここでは唇側歯冠をひとつのキャンバスと捉えながらステイニングの配色をイメージしていただきたい。秩序の原理では、色相環で幾何学的な位置関係にある色同士は調和すると言われている。特に歯冠色のステイニング作業に関連するいくつかの配色方法を提示する。表現する色調に応じて、これらの配色方法を上手く組み合わせれば自然な色調表現が可能となるだろう。そこで適切な色調を選択し、色彩の秩序を守りながら対比効果を狙うことでより深みのある色調が完成される。明度対比明度の異なる2色を並べると、明るい色はより明るく、暗い色はより暗く見える現象彩度対比彩度の高い鮮やかな色と彩度の低い濁った色を並べると、鮮やかな色は一層明るく、濁った色は一層濁って見える現象色相対比色相が異なる2色を並べると、2色の色相はいずれも色相環上の反対方向に移ったように見える現象寒暖対比赤がもっとも暖かく、青がもっとも冷たい色で、この中間の色相は隣接する色相により相対的に暖かく見えたり冷たく見えたりする現象。寒暖対比は遠近を暗示する補色対比隣接した補色を見た時に、互いの彩度が増したように見える現象。2色間の明度差が少ないほど補色対比の効果が大きい縁辺対比色と色が隣接する縁の部分で明度差が強調される現象面積対比面積が大きくなるとその色の性質が強く出て、明るい色はより明るく暗い色はより暗く見える現象

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