ジルコニアモノリシックレストレーションコンプリートブック
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124Part 2-臨床における勘どころを知ろう 多数歯/少数歯における前歯部モノリシッククラウン製作の勘どころ執筆:枝川智之はじめに モノリシックジルコニア修復物製作において、前歯部は多数歯と少数歯製作に分けて考える必要がある。少数歯製作においては、隣在歯があることにより目標の基準が作りやすいため、製作にあたっての要点は色多数歯における勘どころ 多数歯においての歯軸の決定は、①顔貌の評価、②口唇と歯の関係、③歯列の評価、④歯の評価の順で決めることから、顔貌の画像は不可欠となる(図1)。 多数歯製作においては、細かな形態よりも歯軸、歯冠長、歯冠幅径、反対側歯牙の隆線の対称性などを重Chapter 3 前歯部クラウン製作の勘どころ調や形態が中心となる。しかし多数歯においては歯軸や歯冠長、幅径など模型上での決定は難しい。レイヤリング法とは違い、モノリシックジルコニアでは歯軸の修正は容易ではなく、始めからやり直しを余儀なくされる。本項では多数歯と少数歯の要点と勘どころを分けて説明したい。要視する。歯牙の細かな特徴などは加工時に再現されにくいため、セミシンター時にカントゥアリングで付与する(図3)。また、ワックスで一度加工して修正した後にダブルスキャンを行う方法もあるが、臨床的には工程が増えることを考えるとモデリングのみで作業を進めたいところである。図3 削り出されたジルコニアクラウンは、20%程大きくなっているので作業用模型には戻らない。なんの基準もないままカントゥアリングを行えばバランスが崩れてしまう。左:モデリング後、削り出された状態。この後のカントゥアリング工程を考えると、モデリング時に抑えておくポイントとして述べた歯軸、歯冠長、歯冠幅径、反対側歯牙の隆線の対称性を重要視しておくことが大切と考えている。右:カントゥアリングが終了した状態。抑えるべきポイントの基準をもとにカントゥアリングすることでシンタリング後に模型に戻した時に最終的な形態とのズレを少なくできる。図1 多数歯においての歯軸の決定は、①顔貌の評価、②口唇と歯の関係、③歯列の評価、④歯の評価の順で決めることから顔貌の画像は不可欠となる。図2a、b 近年、スマイルデザインを用いて顔貌画像とSTLを重ね合わせて画像上でモデリングができることで、歯軸や歯冠長などの基準を作りやすくなっている。またプロビジョナルレストレーションが装着された模型をモデルスキャンすることで、モデリングをする時の基準ともなる。ab1 顔貌の評価瞳孔間線2 口唇と歯の関係鼻下線3 歯列の評価切端平面4 歯の評価

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