ジルコニアモノリシックレストレーションコンプリートブック
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125Chapter 3 前歯部クラウン製作の勘どころb赤線の部分は厚いジルコニアの塊熱伝導率が悪い焼成温度950℃30〜40℃/分焼成速度b基本焼成スケジュール※焼成温度の目安二ケイ酸リチウム用陶材730℃740℃750℃800℃850℃*ジルコニア用陶材メタルボンド用陶材ジルコニア(モノリシック)二ケイ酸リチウム400℃開始温度450℃真空開始720℃真空解除730℃以上(1分係留)焼成温度※乾燥時間:6分真空焼成(1.3~8.0kPa)50℃/分真空開始を開始温度より50℃高く設定することで、炉内乾燥と同等の効果が期待でき、十分な乾燥が可能です。真空焼成は内部気泡が低減し焼き上がりが綺麗になります。真空解除を焼成温度より10℃低くすることで最終焼成が大気下となり、より熱が伝わることで表面に艶を出すことが可能です。理想の焼成温度ステイン焼成の注意点微調整の修正方法と注意点図8 松風ユニバーサルステインは、二ケイ酸リチウムからモノリシックジルコニアまで幅広く使用できるが、焼成時に材料によって熱が伝わらず適正温度で焼成できていないこともあるので、使用する材料によって温度を変える必要がある。図の焼成温度の目安を参照していただきたい。図7a、b 焼成後の調整は、粒度の細かい松風カーボランダムファインや松風PZRを使用して調整する。調整終了後、サンドブラスト処理と超音波洗浄をした後にステイン作業に進む。図6a、b ジルコニアの熱伝導率は金合金と比較して約1/100、アルミナと比べても1/10である。まして、モノリシッククラウンともなると肉厚なジルコニアの部分が多くなり、ますます熱は伝わりにくくなる。このことを理解した上で、焼成温度と焼成速度を設定しなければならない。筆者は熱が伝わらず焼き付け強度が落ちることがないように考え、焼成スケジュールを設定している。焼成速度は30~40℃/分、焼成温度は通常より高めの950℃以上とし、係留時間も長めに設定している。図4 微調整の修正方法。基準ラインを設けてカントゥアリングしても、不足部分は出てしまう。特に単冠などのケースではエンブレジャーやコンタクト、豊隆などの微調整は必要となる。このような箇所はステイン・グレーズ前に修正しておきたい。図5 微調整はジルコニア用の陶材を使用する。修正が必要な箇所に適量を焼成する。松風ヴィンテージZRの焼成温度は、900~920℃、ヴィンテージアートユニバーサルステインの焼成温度は730~850℃。この温度差があることで、この後のステイン・グレーズでは陶材に垂れたりする影響が出ない。エナメル陶材温度差松風 ヴィンテージZR焼成温度  900〜920℃松風 ヴィンテージアートユニバーサル焼成温度  730〜850℃熱伝導率アルミナジルコニアの熱伝導率は金合金の約1/100ジルコニアの熱伝導率はアルミナの約1/10ジルコニア25〜31350W/mK280W/mK210W/mK140W/mK70W/mK0W/mK2.9〜5.9熱伝導率熱伝導率金合金ジルコニアaba

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