決定版 実践マニュアル歯科用CTの見かた・読みかた
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決定版 実践マニュアル 歯科用CTの見かた・読みかたしているだけで日頃から放射線に被ばくしているのです. このように人が生活しているだけで自然に受ける放射線のことを自然放射線と呼びます.自然放射線の被ばく量を全世界の地域で平均すると1人あたり年間2.4mSv(ミリシーベルト)となります.日本での被ばく量は居住地によっても若干異なりますが,大まかに見積もると2.1mSv程度です.飛行機の中やエベレストなどの高山では低地で生活する場合に比較して,宇宙に近づくため自然放射線の被ばく量が増します.東京からニューヨークまで飛行機で移動すると0.1mSv程度被ばく量が増すことがわかっています(図2).b.人工放射線(医療放射線を含む) これに対して人工的に生成された放射線を人工放射線と言います.医療で用いるエックス線(医療放射線)はその代表です.原子力発電の際に産生される放射性物質なども含まれます.自然放射線に比較すると人工放射線による被ばく量は非常に少ないものです. 人工放射線の代表である医療被ばくは1年間1人当たり3.87mSv程度と推定されています.医療被ばくとは疾患に対する診断や治療のために患者が放射線に被ばくすることを言います.う蝕の治療を行う前に進行の程度を評価するためにデンタルエックス線撮影を行うことによる被ばくを思い浮かべてもらえれば良いでしょう. 人工放射線は自然放射線とは異なり文字どおり人によって作り出された放射線です.したがって,その被ばくには厳重に注意を払う必要があります.以下に放射線被ばくを理解するうえでその量を表している単位について説明します.c.Sv(シーベルト)の2つの意味 福島第一原子力発電所の事故について報道される際,前述したSv(シーベルト)がよく用いられていました.このシーベルトは簡単に言うと人が放射線被ばくを受けた際に,受けた場所によって放射線が人の身体に与える影響が異なることを加味した単位です.そして,この単位には実は2つの意味が含まれています.人が放射線を受けた際,その強さが大きければ一般的に大きなダメージを受けます.ただし,エックス線を例にとってもわかるように放射線の一部は人体を通過するものと吸収されるものとがあります.宇宙からの放射線1時間あたり0.0074 mSv0.0001 mSv0.00005 mSv標高3,776 m高度1万 m0 m図2 高度による被ばく量の違い(1時間あたり).高度が高くなるほど宇宙線からの被ばく量が増加する.東京とニューヨーク間を飛行機で移動する場合,十数時間上空にいることになる.そのため宇宙からの被ばく量の0.0074mSvに十数時間を掛け合わせ,0.1mSv程度の被ばく量となる.13

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