「粧う」ことで健康寿命を伸ばす化粧療法
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22「粧う」ことで健康寿命を伸ばす化粧療法 ―エビデンスに基づく超高齢社会への多職種連携アプローチ2-1 口腔機能と化粧療法の意外な関係 近年、口の健康は全身の健康に影響を及ぼすことが明らかなり、口腔機能の維持や口腔ケアの大切さが認知されるようになっています。 2011年頃から現在まで、化粧療法の研究の一環で、歯科医師や歯科衛生士さんと研究を行ってきましたが、さまざまな方から「化粧の研究なのに、皮膚科ではなくなぜ歯科なの?」「化粧と口腔機能はどのような関係があるの?」「肌のケアと口腔ケアに共通点はあるの?」とよく聞かれます。これまでの研究から、口腔機能と化粧療法には意外な関係があることがわかってきました。 まずは、化粧と口の健康につながる口腔機能や口腔ケアに関する研究を行うきっかけとなった出来事をお伝えしたいと思います。 2011年春、私は横浜市内の介護老人保健施設で身体機能や認知機能に対する化粧療法の効果検証を開始しました。化粧療法プログラムとして、月2回の「いきいき美容教室」への参加と、毎日のスキンケアの実施を3か月間行いました。研究期間も終盤を迎えたとき、現場の介護スタッフに参加者の変化についてヒアリングをしていると、興味深い答えが返ってきました。 「『いきいき美容教室』に参加していた2人のよだれが止まったのよ」 そこで、教室後に毎回撮影していた記念写真を確認すると、初めて参加した時の写真にはよだれかけが写っていましたが、3か月後の写真には写っていませんでした(図1、2)。撮影者に確認しましたが、撮影のために外したのではないとのことでした。 また、その施設での化粧療法の取組みに対する取材が入っていたこともあり、テレビクルーがご家族にインタビューをしていました。そ

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