TMD YEARBOOK2019_2020
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3章 患者さんの訴えの種類に応じた問診・説明をしよう!1.患者さんに何を聞く?(問診) 本稿では,患者さんが「口が開かない」,すなわち開口障害を訴え,歯科医院に来院した場合の対応について解説をしていきます.その問診では,上記の3つを患者さんに聞いていきますが,その前に2章(24ページ)にあるように,「口が開かない」という症状は,病態としては顎関節症の4つの病態分類のなかで咀嚼筋痛障害(Ⅰ型),顎関節痛障害(Ⅱ型),顎関節円板障害(Ⅲ型)の復位性,顎関節円板障害(Ⅲ型)の非復位性のいずれかになるということを再度,認識しておきましょう.1-1)口が開かないのはいつですか? 患者さんが「口が開かない」と訴え歯科医院に来院した場合,まず,①開口障害がいつ始まり,②それがどの程度の頻度で起こるのか,③どの程度継続し,④現在の状況はどうなのかを聞く必要があります. そのうえで,来院時には口が開けられるが,ときどき開かなくなるという場合と,口が開かない状態で来院する場合があり,それぞれ次のことを患者さんに聞く必要があります(図1).来院時には口が開けられるが,ときどき開かなくなる場合「どんな時に開かなくなりますか?」(発生要因)「開かなくなるのは1日に(週に,月に)何回程度ですか?」(発生頻度)「開かない状態はどのくらい続きますか?」(持続時間)「何をすると開くようになりますか?」(改善要因) また,関節雑音の有無についても聞いておく必要があります.普段は音が鳴っているのか,口が開かなくなった際には音が消失したか,開くようになる際に“ガクッ”という音をともなったかなどを確認します.図2に質問・回答例を示します.口が開かない状態で来院する場合 口が開かない状態で来院した場合は,それがいつから続いているのかを確認します.「いつから口が開かなくなりましたか?」(症状経過) この問いに対して,急に開かなくなったという答えが返ってきた際には,そのタイミングについて質問します.「開かなくなったのはどんな時でしたか? 起床時ですか?」患者さんの訴え その2執筆:西山 暁/馬場一美*東京医科歯科大学口腔顔面痛制御学分野*昭和大学歯科補綴学講座「口が開かない」問診内容1-1)口が開かないのはいつですか?1-2)どうして口が開けられないのですか?1-3)どの程度,口が開かないのでしょうか? 開かないことにより,何がお困りでしょうか?62別冊the Quintessence 「TMD YEARBOOK 2019/2020」

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