インプラント治療の到達点
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1章 インプラント治療の現状 - digital implant dentistryの発展- 審美補綴症例において支台歯形成後の印象採得と咬合採得をIOSで行う場合、さらにフェイススキャンを行ってデータ上でIOSにより採得した印象とマッチングさせることで、より精密で審美的な補綴装置を作製することができる。歯科技工士サイドでは、デジタル補綴装置作製時に正中線、瞳孔間線、咬合平面(犬歯間)を明らかにでき、患者の顔貌情報も得られるため、技工作業にかかる時間をより短縮することができる。チェアサイドでは、歯科技工士立会いのもと行うシェードテイキングや試適などの時間短縮にもなる。フェイススキャンは撮影時に画像収縮や画像拡大が生じるため、必ずしも正比率であるとはいえないが、それ以上のメリットは大きい。 顔貌に付与するマッチングポイントは、比較的患者本人が動かさないようにできる部位である鼻根部、眉間部としている。これらのマッチングポイントを顔貌に付与後、CT撮影、フェイススキャンを行い、IOSによる口審美補綴症例におけるフェイススキャンの応用腔内撮影時には鼻根、眉間の部分も連続した画像で撮影し、マッチングさせる。 症例を供覧する。患者は、59歳女性。₅の違和感と上顎前歯部の審美障害を主訴に来院された(図8)。パノラマX線所見では₅に歯根破折線と根尖病変による骨の透過像が認められた(図9)。₅は保存不可能であったため抜歯を行った。治療計画は、₅₆部に2本インプラントを埋入し₄₇のクラウンを除去後、₂ー₂の色調改善のための審美補綴治療を行い、₆₅₄のクラウンを除去後、補綴治療を行うこととした。補綴治療に関しては、₅₆部にインプラントを埋入後、₆₅₄₄₅₆₇にプロビジョナルレストレーションを装着して咬合機能の改善を図る。その後、上顎前歯部に審美補綴治療を行い咬合の安定を確認した後、最終上部構造を装着する計画を立案した。クラウンの材質はすべてジルコニアセラミック上顎前歯部に対する審美補綴症例上顎前歯部に対する審美補綴症例図8-a~c 初診時口腔内写真。図9 初診時パノラマX線写真。図10 IOSによる印象採得、CT DICOMデータよりサージカルガイドを作製した。図11 IOSスキャンボディを装着したインプラント最終印象。abc32

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