インプラント治療の到達点
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 これらのエビデンスに基づき、萎縮した上顎顎堤に対しブロック骨移植による水平的骨増生および段階的インプラント埋入を行った症例を供覧する。症例供覧:ブロック骨移植による水平的歯槽堤増生 患者は52歳、女性。インプラント治療を希望し、下顎臼歯部のインプラント治療を他院で受けた。患者は上顎もインプラント治療を希望したが上顎顎堤の萎縮が著しく、前医での治療が叶わず、当院を受診した(図3、4)。 診断用ワックスアップで最終上部構造をイメージし、想定されるインプラント埋入ポジションにおける顎堤の状況を歯科用CTで確認した。右側上顎前歯部から小臼歯部において顎堤が著しく萎縮していることが確認された(図5)。 そこで本症例では、既存骨の厚みが2mm以下の部分もあり、増生量は少なくとも4mm以上必要なこと、同時法よりも段階法の予知性が高いこと、下顎よりも上顎では慎重な対応が求められることなどを考慮して、ブロック骨による段階法とした。なお、₂₃は予知性が低図3-a~c 初診時口腔内写真。図4 同パノラマX線写真。図5-a~e 診断用ワックスアップおよびCT画像。cbaabcde₅₅₄₄₁₃ブロック骨移植による水平的歯槽堤増生422章 インプラント治療における適応症の拡大

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