インプラント治療の到達点
4/6

く、保存した場合には上部構造が複雑化することから抜歯を決断した。 ブロック骨のおもな口腔内採取部位は下顎枝とオトガイである。オトガイからの骨採取では神経障害の発生率が高く、合併症を避けるには下顎枝からの採取が推奨される1)(表1)。しかし、本症例では両側の下顎枝だけでは十分なブロック骨を採取できないため、オトガイからもブロック骨を採取した。オトガイからのブロック骨採取は合併症発生リスクは高いが、デザインがしやすく、さらに海綿骨を含めた皮質骨のブロック骨を採取しやすい利点もある3)(表2)。骨切りに際しては、骨組織への侵襲を最小限に抑えるため、ピエゾサージェリーを用いた(図6)。 オトガイおよび下顎枝から採取したブロック骨を増生部にスクリューでしっかりと固定し、周囲をBio-Ossで覆い、粘膜骨膜弁を緊密に縫合した(図7)。その際、縫合面どうしが内反せずeverting sutureとなるよう細心の注意を払い、縫合面はバットジョイントで緊密に単純縫合する。ブロック骨移植後、移植骨の露出はなく創は良好に治癒した。オトガイ下顎枝骨採取量1.74cc0.9cc採取骨の大きさ最大5cm最大3cm採取骨の厚み1cm程度4mm以下海綿骨採取可能困難部位神経障害発生率オトガイ10~50%下顎枝0~5%表1 骨採取による術後合併症1)表2 採取部位による移植骨の特徴3)図6-a、b オトガイおよび下顎枝からのブロック骨採取。図7-a~d ブロック骨移植。aacbbd432-1 萎縮した歯槽堤への対処法

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る