子どもの口腔機能を育む取り組み
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習慣的に口呼吸を行っていると、舌の位置が低くなり、嚥下時に舌圧が得られなかったり、口腔周囲筋の圧迫を受けるため、上顎の側方への成長が妨げられる。呼吸と上顎の成長図7 正常な上顎の成長嚥下時に口蓋に舌が押し付けられ、その圧によって上顎が側方成長していく。上顎の側方成長が進むにつれて、口蓋部の骨は下方に成長し、口蓋の深さは浅くなっていく。積が少ないまま成長を終了してしまう場合も少なくありません(図9)。口呼吸の悪影響について保護者に説明し、鼻呼吸を誘導し、習慣化する このように、低年齢からの積極的な顎成長の見守りと、適図9 呼吸の顔貌への影響切な時期の介入は、その子どもの顔つきを大きく左右し、全身の成長や重要な口腔機能の発達に大きな影響を及ぼします。そのため、なるべく早期から専門職として子育てにかかわり、口呼吸の悪影響について保護者に説明します。そして、阻害する因子を除去して鼻呼吸を誘導し、習慣化できるように指導することが重要です。図8 習慣的口呼吸の子どもの上顎の成長舌の位置が低いため、嚥下時には舌が歯におしつけられてしまい、口蓋に圧がかからない。口蓋は狭く高い。U字型の歯列V字型の歯列bb幼少期から正常な鼻呼吸を行っている場合と、習慣的な口呼吸を続けていた場合で、成人後の顔貌に差が生じる。鼻呼吸では上顎が前方へ成長するが、口呼吸では下顎が下方に成長することで面長となる。鼻呼吸を続けた場合口呼吸を続けた場合下方成長前方成長図13a図14aaa口腔機能は全身とともに育まれる17

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