子どもの口腔機能を育む取り組み
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 腰がすわる前、すなわち体の軸が安定する前に、腰を支えるタイプ(いわゆるバンボタイプ)のベビーチェア(図22)を使用して無理に座位をとらせることは、自座位と歩行のための発達を阻害し、脊椎の歪みにつながります。 さらに、「動き回らないように」「離乳食を与えるのに便利だから」と、食事用のチェアとしてもバンボタイプのベビーチェアが代用されることがありますが、自座位ができない状態では自分の力で上半身が支えられず、頚部の位置も安定しません。そのため、たとえば手づかみ食べをしようとしても手が出にくく、手づかみがしにくかったり、飲み込みにくく吐き出してし 出生時にはかかとの骨は未形成で、4歳前後で完成するまで足首はまだ軟らかい状態です。そのため、ファーストシューズはややハイカットで、踵がしっかりしているものを選び、靴と足が一体化するようにマジックテープでしっかり保持してあげましょう(図23)。 かかとのないスリッパ・サンダルは脱ぎ履きさせやすいですが、かかとの骨が未形成の時期に履かせると、足首がしっかり支えられず姿勢が悪くなるため7)おすすめできません。 うつぶせ寝、横向き寝、異常に長い時間にわたる指吸いなどの態癖の悪影響は、歯列のみならず、顎顔面の発育にも及び、その持続的な異常な力によって変形を起こす原因となります8)。 また、うつぶせ寝や横向き寝は、顔面が圧迫されるため、口唇の閉鎖が困難になり、口呼吸を誘発します。胸部を狭く圧迫する姿勢となり、浅い呼吸になることも、口呼吸を誘発する要因のひとつとなります8)。 逆に、日常的な口呼吸や不良姿勢が、うつぶせ寝や横向き寝、指吸いの原因になっているこ腰がすわる前に座位をいそがせないで靴は、足指や姿勢にかかわる重要な要素うつぶせ寝や横向き寝、指吸いなどのくせに注意まうこともあります。上半身を自ら支えられる力がなければ、嚥下する力や自食する力も十分に備わっていないということなのです。一歩一歩階段を登りましょう。とも考えられます。普段から頚部を後屈し、口呼吸を行っていると、寝る姿勢も同様になり、うつぶせ寝や横向き寝となる可能性があります。また、頭部が後屈すると鼻呼吸がしにくく、姿勢も不安定になるため、指を吸うことで口唇を閉じ、鼻呼吸を促している場合があります。あおむき寝に寝かせ、指吸いを改善するためには、呼吸や姿勢にも注目してみるとよいでしょう。図22 バンボタイプのチェア図23 靴選びが姿勢に影響腰を前後から包み込むことで、自座位ができるようになる前から赤ちゃんが座れるようにくふうされたベビーチェアで、近年急速に普及している。※夜間のうつぶせ寝は姿勢の崩れの原因となりますが、日中でのうつぶせ姿勢(腹臥位)は、頚部の筋肉の発達を促し、前方を見る力やハイハイへの力を促します。うつぶせ状態で前方のおもちゃを触らせるなどして見守りましょう。7バンボタイプに注意[時期]ハイハイの頃8靴の選び方[時期]10~20歩歩けるようになったら9態癖[時期]すべての期間 立位(たっち)ができているのを確認したら、靴の選び方のパンフレットをお渡しする。タイミング&よびかけ例西川歯科「足育教室」(P.31)で使用している靴選びの資料。25歯科医院における発達支援のヒント

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