薬を飲んでいる患者への歯科治療
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2インプラント治療を行ううえでの本症例の問題点 関節リウマチを含め、複数の自己免疫疾患にてステロイド療法を長期にわたり受けている。シェーグレン症候群によると思われる口腔乾燥・口腔粘膜の脆弱性も認められる。全身的なリスクは非常に高く、グループ1のHigh risk factorsの患者である。インプラント埋入などの外科処置では易感染性に注意が必要である。さらに手術にあたってステロイドカバーを行う必要がある。ステロイド性骨粗鬆症があり、インプラント治療を行うには骨量・骨質の問題がある。また、初診時は投薬されていなかったが、ビスフォスフォネート製剤の投与が考えられ、BRONJの可能性もある。これらを患者には十分に説明し、インフォームドコンセントを得たうえで慎重に治療を進めることにした(表1-9)。3処置および経過 表1-10に、本症例の経過と外科処置および周術期管理についてまとめた。まず67を抜歯した。普通抜歯で主治医との対診でステロイドカバーは必要ないと判断症例1-1ステロイド療法を受けている患者にインプラント治療を行った症例(図1-3〜10)◆患者年齢、性別………46歳、女性   ◆初診日………2000年10月◆主     訴………咀嚼障害とインプラント治療希望◆既  往  症………全身性エリテマトーゼス、シェーグレン症候群、関節リウマチにてステロイド療法を受けている。他に骨粗鬆症、橋本病、日光過敏症、間質性肺炎がある。◆現  病  歴………数年前より下顎可撤床義歯を繰り返し調整するも床下粘膜に潰瘍が頻発し、義歯は使用していなかった。インプラント治療の強い希望があり、紹介来院した。◆全 身 所 見………左手関節腫脹、手指の変形がある。図1-3a〜e 初診時の状態。65に欠損を認める。右側下顎臼歯部には可撤床義歯があったが、頻繁に床下粘膜に潰瘍が生じることから使用していなかった。67は残根状態であった。パノラマX線写真では、両側関節突起と下顎頭には骨吸収を認めるも、顎関節症状は認めない。abcde191章2章3章4章5章6章7章8章9章

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