子ども口と顎の異常・病変 歯と顎骨編
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10CHAPTER 1 歯と歯質の異常・病変新谷誠康(東京歯科大学小児歯科学講座)歯の奇形2さまざまな歯の奇形歯の奇形とは,歯の大きさや形態の異常である.巨大歯歯冠と歯根がともに大きい.非常にまれである.矮小歯(円錐歯,栓状歯,蕾状歯)「矮小歯」は,正常な歯に比べて歯冠が小さく,形態的な特徴から,切歯では「円錐歯」あるいは「栓状歯」,臼歯では「蕾状歯」ともよばれることがある.乳歯では下顎乳側切歯,下顎乳犬歯に多く,永久歯では上顎側切歯に多い.上顎智歯や過剰歯にみられることも多い.Hutchinson歯「Hutchinson歯」とは,先天性梅毒が原因の形態異常である.上顎中切歯の切縁が半月状に陥凹し,歯冠全体が丸みを帯びて先端が狭くなっている.なお先天性梅毒では,臼歯にも「Moon歯」あるいは「Fournier歯」とよばれる矮小歯が出現する.歯内歯(図1, 2)「歯内歯」とは,歯冠部の象牙質の一部が,表層のエナメル質をともなって歯髄腔内に深く陥入している状態である.エックス線写真検査で,外側の歯の歯髄腔内に小さな歯が入っているように見える.上顎側切歯に好発する.臼傍結節(Bolkの結節)「臼傍結節」とは,上顎臼歯の頰側面に出現する結節である.上顎臼歯や上顎乳臼歯にみられるが,上顎の第二・第三大臼歯に多く発現する.図1 2が歯内歯であり,根尖性歯周炎に罹患している.a:口腔内写真,b:エックス線画像.*参考文献1より転載ab図2 正常歯と歯内歯の矢状断による比較.歯内歯正常歯

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