子ども口と顎の異常・病変 歯と顎骨編
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歯と歯質の 異常・病変歯列と咬み合わせの異常・病変エックス線写真でみえる異常・病変歯の外傷・口の外傷顎関節と顎骨の 異常・病変学校での歯科健康診断時の注意事項112 歯の奇形プロトスタイリッド(原錐茎状突起 図3)「プロトスタイリッド」とは,下顎大臼歯の近心頰側部にみられる突起状結節である.乳歯では下顎第二乳臼歯に認められることがある.カラベリー結節「カラベリー結節」とは,上顎大臼歯および上顎第二乳臼歯の近心舌側咬頭の舌側部にみられる結節である.この結節は,両側性に認められることが多い.乳歯にみられる異常結節のなかでもっとも多いものである.タウロドント(図4)「タウロドント」は,「長胴歯」ともよばれる.臼歯の歯頸部が長く,歯根が極端に短くなり,それにしたがって歯髄腔も広くなった歯である.歯頸部における狭窄が認められない.とくに下顎第一乳臼歯に多いが,その他の乳臼歯や大臼歯にも現れる.Klinefelter 症候群の患者に多くみられる.原因Hutchinson 歯以外の原因は不明である.いずれも,歯の形成期における形態分化期の障害である.何をみる?GP・小児歯科の鑑別診断歯の形態的特徴やエックス線画像検査所見に注目するとともに,全身的な疾患の有無に注意する.何をする?GP・小児歯科の対応経過観察を基本とするが,審美的な問題が著明な場合は,歯冠修復を考慮する.また,歯列・咬合に関する問題に補綴学的あるいは矯正学的対応が必要になることもある.予後必要に応じて補綴学的あるいは矯正学的対応がなされていれば予後に大きな問題がない.一般的に,異常結節と健全歯質との境にある裂溝は,う蝕の好発部位である.また,歯内歯は根尖性歯周炎に罹患することが多く,複雑な形態から歯内療法が困難であるため,抜去に至ることも珍しくない.参考文献1.新谷誠康.歯の発育と異常.In:新谷誠康・編集主幹.小児歯科学ベーシックテキスト 第2版.京都:永末書店,2019:67-96.2.赤井三千男・編.歯の解剖学入門.東京:医歯薬出版, 1990:131-148.図3 下顎第二乳臼歯に発生したプロトスタイリッド.図4 タウロドント.a:下顎左側第一乳臼歯に認められたタウロドントのエックス線画像.b:下顎右側第一乳臼歯に認められたタウロドントのエックス線画像(b1)と抜去後の同歯(b2).*参考文献1より転載ab1b2

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