子ども口と顎の異常・病変 歯と顎骨編
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歯と歯質の 異常・病変歯列と咬み合わせの異常・病変エックス線写真でみえる異常・病変歯の外傷・口の外傷顎関節と顎骨の 異常・病変学校での歯科健康診断時の注意事項251 異所萌出原因正中埋伏過剰歯に気づかずにいると,あるいは存在に気づいてはいても抜去をためらっていると,上顎中切歯萌出時に正中離開が生じる(図2).両中切歯の歯根完成後や,両側切歯の萌出後では,正中離開の自然治癒は難しくなる.抜去をためらう理由としては,埋伏歯が深い位置にある,患児の年齢が小さい,などの理由が挙げられる.何をする? GP・小児歯科の対応過剰歯の存在を確認したときは,早期に抜去する(CHAPTER 323でも解説).エックス線写真診断で埋伏歯が両中切歯の位置異常をきたす恐れが低い場合には,抜歯の時期を遅らせてもかまわないが,両者が近接している場合などは,早期に抜去することで,正中離開を防止することができる.すでに正中離開が始まっている場合でも過剰歯を抜去することで,自然治癒が見込まれる.正中過剰歯による異所萌出(正中離開)乳歯の晩期残存による異所萌出図2a, b 7歳の男児.正中埋伏過剰歯による上顎の正中離開.エックス線写真診査では,両側中切歯の歯根が未完成,両側側切歯の形成・萌出がこれからなので,早期に過剰歯を抜去すれば,ある程度の離開の縮小は期待できる.ab乳歯が交換期を過ぎても残存している場合に,後継永久歯が異所萌出を起こす(図3).図3 6歳の女児.1の異所萌出.Aは,歯根の吸収が不十分なため,動揺は少ない.1萌出スペースは十分あるので,Aを抜去後に経過観察を行う.1の位置は自然治癒する確率が高い.

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