再根管治療の成功率を高めるスカンジナビアエンド
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いということである. Sjögrenらの研究以外でも,筆者が過去に報告した根管治療に関する予後を分析したシステマティックレビュー2)の中で,術前の根管の状態ごとに結果を分けて分析した研究をまとめてみると,同様のことが明らかにされる(図1-1-3). これらの研究をまとめると,根管治療においてもっとも重要な2つのことを結論として導き出せる.1つはスカンジナビアでは術前診断を最重要視するということであ0~2 mm> 2 mm119/127(94%)15/22(68%)42/55(76%)p = 0.003p = 0.3p = 0.0004図1-1-1 感染根管未治療の歯の治療成功率と根管充填の距離の関連性.古くから根管治療の成功率と根管充填の距離の関連性が報告されているが,もっとも良い結果は根管充填が根管内にX線上で0~2mm程度に留まっている場合で,過剰充填になっていたり,過少充填になり死腔がある例では治療結果が悪いと報告されていることがほとんどである.Sjogrenの研究を術前の根管および根尖部の状態からサブグループ解析した結果.根管充填のスタンダードは関係なく分析している.既治療で根尖部にX線透過像が認められる症例の治療成功率が断然低いことがわかる.しかしながら適切に解釈すると,*で示した治療前には根尖部にX線透過像が認められないケースでは,スカンジナビアで行われている無菌的な配慮を行って治療すれば,ほとんど失敗しないことがわかる.図1-1-2 再感染根管治療歯の治療成功率と根管充填の距離の関連性.感染根管治療の場合は,根管治療の成功率と根管充填の距離の関連性が顕著ではない.しかし過剰充填は良好な結果につながるとは考えにくい.表1-1-1 歯髄・歯根状態別の成功率0~2 mm> 2 mm34/51(67%)11/17(65%)(13/26)(50%)p = 0.10p = 0.53p = 0.65図1-1-3 根管状態別根管治療の成功率(95%信頼区間).2001年に行った根管治療の予後に関するシステマティックレビュー2)■ 再感染根管治療/■ 感染根管治療/■ 再治療/■ 抜髄100%80%60%40%Strindberg (1956)Bergenholtz et al. (1979)Kerekes&Tronstad (1979)Barbakow et al. (1980)Sjogren et al. (1990)Smith et al. (1993)Friedman et al.(1995)Molven et al. (1988)90%70%50%歯髄・歯根の状態成功率未治療生活歯髄96%*失活歯100%*感染根管未治療86%既治療再治療98%*感染根管再治療62%1章-1 再根管治療のエビデンス13

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