再根管治療の成功率を高めるスカンジナビアエンド
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55図3-1-3 主訴は口蓋側歯肉腫脹と疼痛.急患対応が必要であった症例.X線的には₃₆も₇も同じように見える.₆は1年前に根管治療を受けているらしい.₆が原因と考えると近心根が疑わしいが,腫脹している部位が₇の口蓋遠心部であることから,クラウン,メタルコアが入っている₇が原因歯と思われた.クラウンおよびメタルコアを除去したとすれば,X線的に残存歯質がほとんどないことがわかる.したがって,無菌治療を行うためには隔壁が必要である.青:₇近心根の正常な歯根膜腔緑:₇口蓋根の正常な歯根膜腔黄:₇遠心根の正常な歯根膜腔橙:₆遠心根の正常な歯根膜腔部位的に外科的アプローチは不可能.大きな問題は,根管内に大きな感染が存在することである.このような例では未治療根管が存在することが細菌への大きな増殖スペースとなっているため,非外科的に根管へアクセスするしかない.外科的にアプローチが不可能な部位でもある.した部位から予測すると,₇の遠心根か口蓋根が原因歯であると思われたが,口蓋根はX線像から比較的健康であると判断し,遠心根から治療を開始した.このような緊急治療では排膿させ内圧を下げることが第一の目的となるが,予約の関係などで,疼痛,腫脹をともなった患者の非外科治療がどうしてもできない場合は,投薬,あるいは切開もひとつの方法である.しかし大抵の根管由来病変では,それらの緊急的治療は原因除去には成り得ないため,次回の予約を確実に取り,非外科的再感染根管治療を行うことになる.図3-1-4 クラウンとコアを除去した状態.残存歯質がほとんどないこの歯の無菌治療の詳細は第4章(図4-1-37~40).診断工程₇①疾患検知明白②疾患診断根尖病変③治療必要度高い④治療方法冠除去+メタルコア除去+隔壁⑤術者の能力可能⑥患者選択非外科選択表3-1-1 再感染根管治療の意思決定手順cdab3章-1 自発痛および腫脹を伴う単冠の場合

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