再根管治療の成功率を高めるスカンジナビアエンド
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4章-1 無菌治療の難易度77図4-1-1 主訴は違和感で,X線からは分岐部に穿孔が疑われた.ラバーダムを掛けることはできるものの,歯冠長が短いため治療中に外れてしまいやすい.表4-1-1 治療方法を決定する際に考慮する要因図4-1-3 主訴は口蓋側根尖部の腫脹.クラウン除去,コア除去した状態.根しか残存していないに等しい.このままでは無菌治療は不可能である.図4-1-2 主訴はクラウン脱離と根尖部歯槽粘膜からの排膿であった.残存歯質のマージンは歯肉縁下であり,掛けることができないため,普通は抜歯となるが,患者の希望により保存した.ディシジョンメイキングの種類なにを決定するか決定に至る要因診断学上のディシジョンメイキング問題の検出臨床症状・臨床所見・X線所見疾患らしいかどうか時間の因子治療学上のディシジョンメイキング治療必要度歯の問題(臨床症状・疾患の状態)術者の問題(能力・考え方)患者の価値観治療のオプション問題の分析どこに問題があるのかその問題を治療できるのか図4-1-5 主訴はクラウン脱離.感染根管治療が必要だが歯質がまったく失われているため,隔壁を作成,仮歯を作成している.運悪く,下顎の小臼歯のため,2根管存在し,アクセスを得るために隔壁をかなり削除しなければならない.仮歯脱落のリスクが高い.図4-1-4a,b 主訴は前歯部の外れ.外れたままでは審美性が損なわれるため,仮歯が必要である.しかし残存歯質も少なく,診査の結果,根管治療を行う必要性も高いことがわかった.に出くわすことも少なくない(図4-1-5).このように,実は非外科的根管治療と一言に言ってもさまざまな状況がある.したがって,私たちの考える非外科的根管治療方法では,このようなさまざまな治療においてのトラブルからその状況に合わせたいくつかの方法を編み出し,無菌的な環境を大きく崩さないような工夫をしている. たとえば,クラウンを外す場合と外さない場合,コアを外す場合と外さない場合ではそれぞれ治療の難易度も異なるし,歯根破折のリスク,治療中の偶発症を引き起こab

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