ジャパニーズエステティックデンティストリー2020
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The esthetic and functional oral rehabilitation utilizing overdenture in combination of abutment teeth and implant abutmentsThe esthetic and functional oral rehabilitation utilizing overdenture in combination of abutment teeth and implant abutments岩田 淳岩田歯科医院兵庫県高砂市神爪1-6-11残存支台歯にインプラント支台を混在させたオーバーデンチャーにより審美性・機能性を回復した症例Jun Iwata, DDS, PhDIwata Dental Oceはじめに 日本社会全体が超高齢社会に突入し、今後ますます欠損補綴治療の需要が増加することが予想される。患者の欠損歯数が増加し、適正な治療が施されない場合には欠損範囲がより拡大して多数歯欠損へと進展していく。それにともない、患者の審美性は大きく低下するとともに、咀嚼・発語などの機能も失われることになる。 こうした多数歯欠損患者に対しての補綴治療としては、インプラントによるボーンアンカードブリッジ、インプラントオーバーデンチャー、および通法の粘膜支持によるデンチャーなどの補綴治療が日常臨床で多く選択されていると思われる。 これらのうち、とくに無歯顎症例におけるインプラントボーンアンカードブリッジは、咬合支持などの点では非常に有利であるが、患者の経済的負担と、骨造成などの大きな外科的侵襲をともなう場合が多い。また患者が高齢になると、メインテナンスや再介入が困難になることもある。また、有床のインプラントオーバーデンチャーは、単冠やブリッジによるインプラント補綴よりもインプラント体の埋入本数を減らせるため、経済的負担と外科的侵襲を軽減することができる。しかし、無歯顎症例で2本のみ埋入を行うインプラントオーバーデンチャーは、デンチャーの咬合支持という点では不十分であると思われる。そして、粘膜支持によるデンチャーは治療期間的にも短く、患者の負担も少ないが、重度の顎堤吸収をともなった症例ではデンチャーの安定を得ることが難しく、咀嚼・発音などの機能回復が難しい場合がある。 以上のように、現在の欠損補綴治療にはいずれも利点・欠点があり、患者のさまざまな背景を考慮して治療を選択する必要がある。 今回は、多数歯欠損症例の残存支台歯にインプラント支台を混在させた、コーヌスクローネタイプのオーバーデンチャーによって審美性と機能性を回復させた症例について報告させていただく。47THE JAPANESE JOURNAL OF ESTHETIC DENTISTRYISSUE 2020

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