臨床で遭遇する口腔粘膜疾患に強くなる本
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9Part1 口腔粘膜疾患の診断力をUPしよう!❶「上下顎歯肉や口蓋部に無痛性の腫脹,または腫瘤がある」➡骨隆起(図1,2)を疑う.❷「舌根に近い舌縁部に発赤や腫瘤がある」➡舌扁桃や葉状乳頭(図3)であることが多い.両側について訴えることは稀で,片側が多い.❸「舌背後方部に複数の腫瘤がある」➡有郭乳頭(図4)であることが多い.❹「疼痛がある」➡疼痛は持続性であるのか,接触時のみなのか問診患者の訴えを診断につなげるする.持続性の場合には粘膜疾患ではなく,炎症や神経障害性疼痛,心因性疼痛であることが多い.❺「舌に持続性のピリピリとした痛みがある」➡食事時には痛みを感じない場合では舌痛症であることが多い.❻「接触時痛がある」➡びらんや潰瘍を生じていることが多いので,疼痛部位の粘膜に変化がないか十分確認する.同時に義歯や歯,補綴装置が刺激になっていないかを確認する.図1a 両側上顎頬側歯肉部の骨隆起.両側上顎頬側臼歯部歯肉に類円形の腫瘤を認める.腫瘤は硬く,表面の歯肉は健常で,接触時に疼痛はない.図1b 下顎隆起.両側下顎舌側臼歯部歯肉に類円形の腫瘤を認める.腫瘤は硬く,表面の歯肉は健常で,接触時に疼痛はない.図2 口蓋隆起.口蓋正中部に腫瘤を認める.腫瘤は硬く,接触時に疼痛はない.表面の粘膜の一部に白斑を認める.口蓋隆起は,機械的刺激を受けやすいので,一部に白斑(白板症)がみられることがある.

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