成功の方程式 図解! 歯周外科を用いた歯肉縁下う蝕の治療手順
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第3章 歯肉縁下う蝕に対する治療法1Apically positioned flap(APF) 補綴修復予定歯の頬側(唇側)歯肉に角化歯肉が3mm以上存在する場合は,主に部分層弁によるApically positioned ap(歯肉弁根尖側移動術:以下,APFと略)を用いて角化歯肉の維持を図る(図2a〜d)14〜18. 骨膜縫合を用いて歯肉弁断端を骨頂に位置づけすることで,生物学的幅径を回復し,最小限の上皮性付着と歯肉溝を獲得することができるため,清掃性,組織安定性の高い歯周組織を構築できるという利点がある.しかし,歯冠長の過延長や歯間乳頭の喪失などの問題を生じ,補綴修復予定のない歯が含まれる部位に対して用いると根面露出による知覚過敏を招く可能性もあるため,注意が必要である.図2a 不良補綴装置を除去したところ,歯肉縁下にフィニッシュラインが設定されており,生物学的幅径の侵襲が疑われた.図2b 生物学的幅径の再構築を目指して骨切除を行っている.図2c 3mm以上の角化歯肉が存在したことからAPFを選択し,歯肉弁を骨頂へと位置づけしている.図2d 術後,歯肉の炎症は消失し,健全歯質が歯肉縁上に露出した.29

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