歯科衛生士のための21世紀のぺリオドントロジーダイジェスト増補改訂版
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88結果を出すSRP SRPがじょうずかどうかは、非常に大事なことです。じょうずなSRPによって歯周状態が改善すると、好循環が始まります。「患者さんの合点がいく」→「患者さんの喜び」→「あなたの自信」→「歯科衛生士としての成長」→「歯科医院の幸せ」、という具合です。SRPのレベルアップで、あなたと患者さんと周りの人を幸せにしてください。そのために、大事なことをお教えします。歯間部の歯石の取り残しに注意 超音波スケーリングを行う、特に新人歯科衛生士さんの失敗で多いのは、歯間部の歯石の取り残しです(図4-24)。磨き残しが多いのは断然歯間部ですから、歯石も多いはず。したがって、超音波スケーラーのチップの先はしっかり歯間部に挿入してください。図4-25 グレーシーキュレットの歯根への接触状態ベテラン歯科衛生士でも気づきにくいハンドスケーリングの間違い キュレットの刃は反っています。その刃の先端を根面に当てるようにしましょう(図4-25)。刃のお尻の部分を根面に当てると、刃先が歯肉を傷つけてしまいます。結果、施術後に歯肉は大きく退縮します。歯間部の歯肉がクレーター状に凹んでしまうこともよくあります。局所麻酔をしないでSRPをすると患者さんが痛がる場合は、刃先で歯肉を傷つけている可能性大です。刃先を根面に接触させていれば、局所麻酔なしでSRPができることが少なくありません。また、局所麻酔の場合、患者さんが「痛い!」と言いませんから、どうしてもオーバートリートメントになりがちです。セメント質を削り過ぎると歯肉はその面に付着できなくなります。これも歯肉退縮の原因です。 よく研磨されたキュレットの刃を正しい角度で根面に当てていても、上下運動の時に接触角度がぶれてしまうことがあります。接触角度が変わると、歯石の表面を上滑りして、歯石の表面を磨いてしまい、ツルピカの縁下歯石(歯石のバーニッシュ)をつくってしまいます(図4-26)。こうなると、この歯石を指の触感で見つけるのは困難です。図4-24 歯周病は歯間部からやってくる歯間部には超音波スケーラーのチップの先をしっかりと入れる。キュレットの刃は反っているという特徴を念頭に置くべし。刃面のお尻で歯根に接触➡刃先が歯肉を大きく損傷刃先で歯根に接触➡刃先が歯肉を損傷しない

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