ブタ実習から学ぶ歯周外科サブノート
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44部分層弁による切除療法・ 歯肉弁根尖側移動術 Apically Positioned Flap2-21)Apically Positioned Flapについて 切除療法で多く用いられるApically Positioned Flap(以下、APF)は、歯肉弁を根尖側に移動することで歯周ポケット除去するとともに、角化歯肉を温存することが可能となる1)。部分層弁での剥離となるため、歯肉弁の厚みを調整でき、また術者の意図する位置に歯肉弁を位置づけることができる。最後方臼歯遠心や欠損隣在歯などにはWedge切開を併用し、歯周ポケット除去を行うことが多い。 一方で、歯肉の位置を根尖方向へ下げるため、天然歯の場合は歯根の露出に伴い、知覚過敏、根面う蝕など引き起こすため、基本的にマージンを歯肉縁・縁下に設定する補綴歯に対して行うべき術式である。2)Apically Positioned Flapの適応症および非適応症 APFなどの切除療法は、歯周ポケットを形成する歯周組織を切除することで、歯周ポケットを浅くする場合に適応する。治癒後の歯肉辺縁の位置が安定しており、生物学的幅径を獲得したい場合に有用である。■APFの適応症・中等度の歯周炎・術後の審美障害を許容できる、または補綴修復できる場合・3mm以上の角化歯肉幅を認める部位・生物学的幅径を獲得したい部位■APFの非適応症・骨縁下欠損が深すぎる場合・角化歯肉幅が少ない場合・臨床歯冠-歯根比が悪い場合・術後の審美障害を許容できない場合・天然歯の場合1Apically Positioned Flapの概要図2-2-1 APFの術式(a)術前/中等度の歯周ポケットを認める補綴予定歯で、角化歯肉幅を3mm程度認める。(b)切開・剥離後/内斜切開を行い、部分層弁剥離を行う。(c)縫合後/歯肉弁断端を骨頂に位置付ける。(d)術後治癒/上皮はクリーピングし、角化歯肉幅はやや増大するが歯根面の露出を認める。骨頂から歯肉辺縁の位置関係は生物学的幅径を確立している。ポケットMGJ切開骨膜MGJMGJMGJ

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