YB2020 スタッフにも読ませたい 人生100年時代の予防・メインテナンス
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う蝕食習慣の乱れ,ホームケアの確立,歯肉との位置関係伊 藤 中 大阪府開業 伊藤歯科クリニック●食生活の乱れはないか,ホームケアは適切に行われているか.●メインテナンス来院の障害になるものはないか.●初期う蝕病変の経過観察.来院した際にチェックすべきポイントPointはじめに 12歳から18歳までの期間は,人生のなかでもっとも急激にDMFTが増加する非常に危険な時期である.筆者の診療室のデータによれば,この時期のDMFT増加に影響を及ぼす要因は,メインテナンス来院状況とmutans streptococciの量(DentocultⓇ SM strip mutansのスコア,以下SMスコア)であった(図1). もっともハイリスクな集団はメインテナンスに来院していない群で,これは混合歯列期と同じである.定期・不定期にメインテナンスに応じている患者群では,SMスコアによってリスクの大きさが変わっていた.SMスコアについては,検査以前の食習慣,ホームケアなど,口腔内環境の変遷の影響を受けている.そして,検査以降も口腔内常在細菌叢は周囲の環境の影響を受け,SMスコアも改善しうると考えられる.つまり,この年代も食習慣,ホームケアなど,日常生活の改善と,メインテナンスの意義を理解してもらうことが最重要課題である. また,この時期には,白斑病変などの初期病変が多数認められるようになる.このような病変に対しては,まず,活動性の病変か否かを見極め(図2),時間の流れのなかで評価し続けることが重要であるPart 4永久歯列完成期 12歳〜図1 12歳から18歳までのDMFT増加とリスク.混合歯列期と同じでメインテナンスに来院していない集団のリスクがもっとも高かった(伊藤歯科クリニックのデータ).図2 歯冠部う蝕病変の活動性を判断するためのモデルの1例.状況に応じてポイントを加算し,その合計で判定する.感度84%,特異度79%であった.参考文献1より改変引用.12歳から18歳までのDMFTの増加リコール状況定期/不定期かつSMスコア2以下43210リコール状況定期/不定期かつ SMスコア3リコール状況 不良1.59N=612.80N=53.64N=22 変数ポイント判定感度84%特異度79%ICDAS-スコアを色調で再構成褐色 白色-陰影/実質欠損-ICDASスコア1,2(褐色病変)ICDASスコア1,2(白色病変)ICDASスコア3,4,5 or 6プラーク停滞領域No Yes触診時の感覚平滑/硬 粗造/軟1341324歯冠部病変の活動性非活動性病変スコア合計:4-7ポイント活動性病変スコア合計:8-11ポイント48別冊the Quintessence 「YEARBOOK 2020」

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