YB2020 スタッフにも読ませたい 人生100年時代の予防・メインテナンス
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forthe100yearslifeThe Oral Health Care(図3).モニタリングには,DIAGNOdentを用いて,数値で経時的に経過を記録しておくのがよい.とにもかくにも初期病変は,脱灰と再石灰化のバランスを整えることにより,修復治療を回避できる可能性があることを肝に銘じておかねばならないし,そのためにはメインテナンスが必須であることも明らかである. 初期う蝕病変以外にも気をつけなければならない病変がある.「隠れう蝕(hidden caries)」(図4a,b)である.隠れう蝕では,肉眼的には実質欠損が認められないにもかかわらず,象牙質で広範囲にわたる脱灰が起こっている.フッ化物の普及などによりエナメル質が硬くなったことで,目に見えるう窩になりにくくなったことでこのような病変が増えてきたのではないかと考えている.隠れう蝕病変の検出には咬翼法エックス線写真を撮影するのがもっとも効果的である.DIAGNOdentも応用できるであろう.エックス線写真は,メインテナンスごとに撮影する図3a〜c 歯の萌出と初期う蝕病変の変化.この症例はメインテナンス,フッ化物の応用などだけではなく,歯肉縁の位置が病変から離れたために,局所のマイクロバイオームが変化したことも望ましい変化をもたらした一因であると想像している.時間軸を意識して経過観察していくことの重要性を改めて認識させられる.図3a図3b図3c図4a図4b図4a,b 隠れう蝕.肉眼所見からは想像し難いほど大きな病変が象牙質内に広がっていた.16歳18歳23歳49別冊the Quintessence 「YEARBOOK 2020」

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