臨床のためのオーラルアプライアンスガイドブック
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2-1 オクルーザルアプライアンス(顎関節治療用装置)装置の分類と特徴上顎あるいは下顎歯列の咬合面全体を被覆する装置で、均等な咬合接触を付与することにより、下顎の安静や固定を図る。作用機序は明らかでないものの、一般的な顎関節症(咀嚼筋痛障害、顎関節痛障害、関節円盤障害、変形性顎関節障害など)における疼痛と機能障害の緩和を目的に適応される。装置装着によって歯列が連結固定されるため、小児や思春期の患者への適応では、成長発育を阻害しないよう慎重な配慮が必要である。前方転位した関節円板を整位する目的で考案された装置である。画像検査の進歩により、一度転位した関節円板の長期的な整位は望めないことが明らかとなっているためその適応は限られるが、現在でも有痛性クリックやクローズドロック解除後の症状の緩和に有効と考えられている。スタビライゼーション型アプライアンス前方整位型アプライアンス(アンテリアリポジショニングアプライアンス)全歯列が均等に咬合接触するよう設計・調整されている。上顎前歯部舌側付近にランプ(ramp:傾面)が設置されており、閉口すると下顎前歯舌側がランプに接触することで下顎が前方へ誘導され、顎関節の負担を軽減することができる。ランプ現在、顎関節症治療に用いられるオクルーザルアプライアンスは、スタビライゼーション型が主流を占めている。一部のケースでは、前方整位型アプライアンスが用いられることがある。55

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