臨床のためのオーラルアプライアンスガイドブック
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Part2 各オーラルアプライアンスの特徴と臨床矯正歯科治療中の患者にマウスガードを製作する場合はコラム矯正歯科治療中のスポーツは、装置が舌や頬粘膜などの軟組織を傷つけることがあるため、マウスガードの装着が推奨される。治療段階や移動する歯の位置・方向、競技によって設計(外形、使用するシートの厚さ、ブロックアウトやリリーフの量)が変わるため、留意する。問診時    矯正歯科治療の段階、競技、マウスガードの用途を確認する。   また今後の歯の矯正的移動に応じた頻回の調整や作り直しが必要となることもあらかじめ伝える。診査 印象採得装着されている矯正装置の種類を確認するとともに、装置が複雑であるために適切に印象採得されない可能性があるため、口腔内写真を撮って記録しておく。(本症例の患者は23歳3ヵ月の男子ラクロス選手。全顎的に叢生が認められ、セクショナルアーチやパラタルアーチを用いて矯正歯科治療中である。動的治療は約2年半行う予定)作業模型に矯正装置の位置や形を再現する必要があるため、装置を含めて印象採得できる十分な大きさのトレーと印象材を用意する。あらかじめワイヤーの下にユーティリティーワックスを敷いて印象を採ると、形態が再現しやすい。作業模型の製作圧接通常のマウスガード製作と同じく行うが、矯正装置の保護と移動スペースの確保のために、即時重合レジンやシリコン系パテなどを用いてブロックアウト(アンダーカット部の補修、写真の赤い部分)を行っておく。本症例では、厚さ3mmのシートを使用している。また前歯部にさらに2mmのシートを加熱溶着させ、印象時に装着されていた矯正装置による凹凸を平坦にしている。研磨装着ブロックアウトした模型に圧接するため、圧接したマウスガードの頬側面に大きく凹凸や空洞ができてたわむことがあるが、圧接に用いたシートと同素材のシートをさらに圧接して段差部分をスムースにすると良い。トリミングは通法にしたがって行い、辺縁をていねいに仕上げる。完成したら試適する。動的治療中に適合が悪くなったマウスガードの使用継続を避けるため、本人や家族、矯正専門医などの関係者と相談し通院間隔を決定する。再来院時は、違和感や痛みの有無やマウスガードが装置を圧迫していないか、開閉口時や会話時に動かないかを確認する。セクショナルアーチトランスパラタルアーチ124657372

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