歯科衛生士のための全身疾患チェアサイドbook
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高血圧症によって患者はどんな生活を送っている?2どんな疾患? 血圧とは、心臓から送り出された血液によって動脈にかかる圧力のことです。心臓が収縮したときの収縮期血圧(最高血圧)、拡張したときの拡張期血圧(最低血圧)があり、診察室で前者が140mmHg以上、後者が90mmHg以上の場合が高血圧と定義されています【78ページ参照】。高血圧が長びくと動脈硬化が起こり、心疾患、脳血管障害などの原因となります。何が原因? 原因のわからない場合がほとんどで、「本態性高血圧症」と呼ばれますが、塩分の摂りすぎや肥満、喫煙などにより引き起こされる生活習慣病の代表だといわれています。腎障害にともなう高血圧など、原因が明らかな場合は「二次性高血圧症」と呼ばれます。どんな検査・治療をするの? 血圧は血圧計で測定します。高血圧は、心疾患などの合併症をともなうことが多く、血圧測定以外にも検査が行われます。 治療は、生活習慣の修正と降圧薬です。高血圧症では心血管系に障害が出やすいので、血圧のコントロールが必要です。合併症にはそれぞれの治療薬を併用します。どんな薬を使用しているの? 降圧薬には、血管を拡張させて血圧を下げる作用(カルシウム拮抗薬など)、尿への塩分の排泄量を増やして血圧を下げる作用(利尿薬)、心臓の収縮力を抑制して血圧を下げる作用(β遮断薬)など、いくつかの種類があります(表1)。さらに、脳梗塞や心筋梗塞など合併症の予防に抗凝固薬や抗血小板薬を併用することも少なくありません。生活上で気をつける点は? 生活習慣の改善が重要で、過度の塩分、アルコール、脂質などを制限し、適度な運動により肥満を予防することが大切です。特に、喫煙は心疾患のリスクを高めます。高血圧症Hypertension5Chapter高血圧症はどんな病気?1表1 主な降圧薬種類商品名カルシウム拮抗薬アダラート®、ペルジピン®アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)レニベース®、タナトリル®アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)ニューロタン®、ブロプレス®α遮断薬カルデナリン®、デタントール®降圧利尿薬ラシックス®、フルイトラン®β遮断薬テノーミン®、インデラル®20

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