医療・介護の現場で役立つ ベーシックオーラルケア
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12口腔ケアを取り巻く課題と背景変化している口腔ケアの現場 日本の医療および介護現場が直面している超高齢化にともなう社会保障費拡大や人口減少、労働力減少による社会・経済活動の縮小を受けて、AIやIoT、遠隔医療(オンライン診療)などを活用したデジタルヘルステクノロジーが急速に発展しつつあります。たとえば、高齢者施設入居者に対する遠隔見守りシステム(センシング)や介護ロボットによるケアの質向上、IoTデバイスによる業務負担の軽減などが期待されています。 歯科においては、高齢者施設と歯科医をオンラインでつなぎ、看護師や介護士が現場で行っている口腔ケアを歯科医師が遠隔(オンラインビデオ通話など)でサポートする取り組みが進められており、口腔ケアに対する心理的ストレス軽減やケアの質向上に貢献しています。 これらのデジタルヘルステクノロジー、オンライン診療の普及が期待される理由の一つとして、「病気は病院で治療する時代から、早期に退院(退院支援)し、在宅での治療やリハビリを行う時代に移行しつつある」ことが挙げられます。これまで病院やクリニックで行われていた口腔ケアも、在宅や訪問看護・介護の現場で行う機会が増えることになり、さらには一緒に暮らしているご家族が口腔ケアをせざるをえない状況になることも予想されます。 しかし、実際の現場で行われている口腔ケアは、看護師や介護士、またご家族が自己流でなんとなく行っていたり、そもそも口腔ケアの必要性や効果、またリスクなども理解されずに行われていたりする現状があります。

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