0歳からの口腔機能と歯列の育て方
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          Part5では、当院が関わったケースについて、印象採得を行った石膏模型を中心に見ていきます。乳幼児の標準的な発育からもわかるように、赤ちゃん歯科ではほとんどのケースで無歯顎、または少数歯萌出の状態です。上顎模型の評価方法はさまざまありますが、わかりやすい以下の5つの評価法で紹介していきます。 本来、形態変化をみるにあたっては、口蓋や切歯骨(前顎骨)の成長による体積の変化や切歯骨部勾配の変化が大切ですが、この形態計測には、三次元計測を行わなければ明確化できないため、ここでは簡易的な評価方法でみていきます。理解しておきたい形態の評価方法ケースを見る前に❶空隙歯列の程度十分不十分❷歯列弓の形状U字型V字型正常な咬合の乳歯列には空隙があるものとされており、特にわかりやすい評価法として知られている。よく、昔と現代の日本の子どもたちの歯列が比較され、昔の子どもたちには空隙が十分にあったと言われてきた。最近では、保育や家庭での生活環境の違いにより子どもたちの口腔内にも変化がある。その結果として現在では、空隙が十分にある子どもたちが減少しているという報告もある1)。新生児の模型の詳細な計測を行った結果、生後1ヵ月の間にも歯列弓の形状(写真は無歯顎だがあえて歯列弓と称する)に大きな変化が起こることがわかっている。生後2~3ヵ月に起こる変化はさらに大きく、その後の発育に影響する。簡易的評価としてU字型やV字型はよく知られ、U字型である方が望ましいが、本質的には口蓋の深さや切歯骨勾配といった口蓋形態に左右されることを意識しておかなければならない。つまり、口蓋形態や上顎骨全体をイメージして考えることが大切。生後4ヵ月生後1歳10ヵ月生後7ヵ月生後3歳6ヵ月生後1歳0ヵ月乳幼児の上顎における標準的な発育100

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