口腔内試適後の唾液や血液による修復物内面の汚染は，接着力の低下を招く．しかし，試適の際，唾液による汚染はかならず起きる．とくに，ジルコニアや卑金属合金をリン酸エッチング材で洗浄すると，接着に必要な化学反応が先に起こり，逆に接着力の低下を招いてしまうと言われている． これを解決するのが，修復物内面のクリーニング液のイボクリーン（Ivoclar Vivadent）である．イボクリーンは接着力に影響する修復物試適後の唾液や血液由来のリンタンパク汚染をクリーニングすることができる．イボクリーンには，酸化物の細かい粒子が含まれており，修復物表面に付着したタンパク質を吸着除去する役割を果たす．イボクリーンを修復物内面に塗布し水洗乾燥するだけで，修復物は新鮮な面を取り戻しセメントの接着力が強固になる． 図1 イボクリーンを使用し，試適によって付着した唾液を洗浄．1.イボクリーンの有用性と使用法28修復物内面の汚染の除去1
元のページ ../index.html#1