ビジュアルマイクロサージェリー
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ら視野を外して,再度覗いた時に像が結像するまでの時間を筆者は「Re-focus time (RFT)」と呼んでおり,筆者のマイクロスコープを評価する1つの指標にしている.展示会のたびに国内で流通しているすべてのマイクロスコープのRFTを自分なりに調べているが,高価格帯の顕微鏡ほどその値が小さいと思っている. 9時のポジションからマイクロスコープをどのように使うかを述べる.患者の口腔内を下顎の前歯部と左臼歯部,右臼歯部の3分割,上顎も同様に3分割,合計6分割し,それぞれに向かって図2のようにマイクロスコープを持っていく.患者が正対して寝ている状態で両耳を結ぶ方向をX軸,頭頂から足先を結ぶ方向をY軸,後頭部から鼻先方向をZ軸とすると(図3),9時のポジショニングであれば,X軸方向にマイクロのアームが動き,その状態で鏡筒の左右,すなわちMORA機構が動く方向がY軸で,ピントがZ軸の上下で定まることになる.術者の顔を近すぎない程度に作業距離がある程度定まっていると,バリオスコープ機能(手元のつまみでピントが調整できる)によりZ軸はほとんど動かすことはない(図4). このようにマイクロスコープを動かし,患者の頭位を工夫することにより,口腔内のすべての部位をwithoutミラーで観察することができる.具体的なマイクロスコープ下の抜歯について以下に述べる.図2 9時のポジションでの顕微鏡の位置.患者の口腔内を上下それぞれ前歯部,臼歯部の合計6部分に分け,それぞれに向けて顕微鏡を操作することでほぼすべての部位でミラーなしで処置ができる.図3 患者の両耳を結ぶ方向をX軸,頭頂から足先を結ぶ方向をY軸,後頭部から鼻先方向をZ軸とする.図4 X軸:マイクロのアームの動きの向き.Y軸:鏡筒の動く方向,つまりMORA機構の動く方向.Z軸:ピント(ほとんど動かない).顕微鏡下顎前屈上顎後屈術者3進法下歯槽動・静脈下歯槽神経舌神経132XZY顕微鏡下顎前屈上顎後屈術者3進法下歯槽動・静脈下歯槽神経舌神経132XZYChapter3 マイクロスコープ下の抜歯術35

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