歯内療法のパラダイムシフト
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121別冊 the Quintessence 「歯内療法のパラダイムシフト」加圧根管充填からシーラー依存型根管充填へ%0,40,20-1,2-0,8-0,6-0,4-0,2-1寸法安定性ISOGuttaFlow 2Sealer partGuttaFlow図4 ガッタフロー2の寸法安定性.硬化後,収縮せずに約0.1%微膨張する.図3 側方加圧充填後の横断面.スプレッダーの加圧により,ポイントが根管壁に圧接され,シーラー層は薄くなっている.しかしながら,圧接回数が多く,テクニカルエラーが起きやすい.図5 ガッタフロー2を用いてシングルポイント法で根管充填された歯の横断面.シーラーが根管の大部分を占めているが,微膨張性で硬化収縮せずに漏洩は起こらない(Dr. Matthias Roggendorfのご厚意による).図6 チキソトロピー性のガッタフロー2がポンピングによりイスムスの細部まで充填されている(Dr. Matthias Roggen-dorfのご厚意による).56 従来の根管充填のグローバルスタンダードは,ガッタパーチャとシーラーを用いた加圧充填であった.以前のシーラーでは硬化収縮を起こすため,シーラー層が厚いと漏洩は多くなる.そのため,シーラー層はできるだけ薄くして,漏洩を少なくするために加圧する必要があった(図3). しかし,近年,シーラーの研究開発が進み,硬化後に微膨張するシーラー(図4)も市販され,臨床応用されている.そのため,根管充填時に必ずしも加圧してシーラー層を薄くする必要はなくなった(図それ以上の封鎖性を有するとの報告もある1. しかし,多くの根管は円柱状や円錐形ではないため,拡大形成を行ってもすべての根管壁面にファイルが接触するわけではない.Ni-Tiファイルによる根管の拡大形成後,ファイルの接触面は根管壁の60%程度であり,40%程度の非切削面が残存する5).マッチドコーンテクニックは加圧充填法と比較してシーラー依存性が高いので,使用するシーラーは硬化時に収縮せず微膨張することが条件であり,生体親和性の高いものが望ましい. ガッタフロー2(以下,GF2と略,RECOMMEND MATERIAL参照)は,30μm以下のガッタパーチャ粉末とシリコーン系シーラーを混合させることにより,非加熱で流動性の高いコールドツーインワン根管充填システムを実現した3,4.GF2の硬化後の微膨張性(0.1%:図4)と不溶解性により高い封鎖性を可能(図2)2.したがって,マッチドコーンテクニックは机上の理論であり,6割の根管壁にはマッチしても,4割の根管壁にはガッタパーチャポイントはマッチせず,根管充填用シーラー(シーラー)による充填に依存せざるをえない.すなわち,シーラー依存型根管充填ともいえる(図2).1.根管充填のパラダイムシフト

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