アライナー矯正歯科治療
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283abcdef修復治療に用いるスペースの再配分 | 前歯部への単独インプラント埋入の準備上顎側切歯近遠心のスペースが確保され、上顎の正中は顔面と下顎の正中に合うよう調整された。本症例では、上顎のみにアライナー12枚を使用した(図15-1d)。正中の閉鎖を維持するため、上顎中切歯口蓋側にワイヤーをボンディングし保定を行った。矯正歯科治療終了後すぐに上顎側切歯へのベニア修復が行われた(図15-1e)。その後真空成型にてクリアリテーナーを新製した。前歯部への単独インプラント埋入の準備前歯部への単独インプラント埋入で行うべき準備は以下のとおり。◦インプラント埋入に適した近遠心的幅径の確保◦隣在歯の歯根傾斜がインプラント埋入に適しているかを確認する◦顔面の正中と歯列の正中を一致させる◦過萌出など対合歯の問題に対する咬合平面の修正図15-2は、上顎両側犬歯の先天性欠損症例である。主訴は晩期残存している乳犬歯が矮小で、動揺していることであった。頬側の咬合はⅠ級関係で、歯列は整っているものの上顎正中が右側に偏位していた。インターディシプリナリー治療として、単独インプラントを埋入するため上顎左側犬歯部のスペースの準備を計画した。また、上顎正中を顔面の正中に合わせ、上顎両側側切歯を回転させてアライメントし、上顎左側第一小臼歯の歯根傾斜を治療して埋入部位を整え、犬歯部へ単独インプラント埋入を行うと同時に乳犬歯を抜歯することとした。図15-2 a〜c:治療開始前の口腔内写真。上顎乳犬歯の晩期残存と上顎正中の偏位をともなうⅠ級不正咬合である。 d:治療開始前のパノラマエックス線写真。上顎犬歯の先天性欠損を示すパノラマエックス線写真。 e:インプラント治療後のパノラマエックス線写真。 f:矯正歯科治療と修復治療終了後の口腔内写真。

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