口腔外科ハンドマニュアル’20
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安全で手際の良い上顎正中埋伏過剰歯の抜歯法VISUAL SEMINAR : BASIC DENTAL AND ORAL SURGERYChapter1-1者の協力が得られて局所麻酔下での抜歯が可能であり,永久中切歯の歯根の1/2〜2/3が完成していて抜歯による歯胚への影響が小さいと思われる7〜9歳が勧められている3〜5.抜歯の実際[1]麻酔方法の選択 抜歯の時期を選べば埋伏位置が深くても局所麻酔で十分抜歯可能であるが,患児の協力度によっては全身麻酔が必要になることもある3〜5.[2]アプローチ法の選択 CT画像を参考にして,口蓋側からアプローチするか唇側からアプローチするかを判断する.上顎正中過剰埋伏歯のほとんど(80%以上)が口蓋側にある3〜5とされており圧倒的に口蓋側アプローチが多いが,萌出済み永久歯の根尖よりも高い位置で唇側骨表面からの深度が浅い場合(図9)や,萌出歯根間に埋伏している場合(図10)には唇側からアプローチしたほうが抜歯しやすい.[3]口蓋側アプローチ1)局所麻酔(図11) 小児は局所麻酔注射で強い痛みを与えてしまうと,泣き出したり,怖がったりして手術時間が延長したり,抜歯中止になりかねない.そのため局所麻酔を無痛的に行うことが重要である.局所麻酔を無痛に行うポイントは,表面麻酔を使用したあと,まず唇側の歯肉頬移行部の可動粘膜直下にゆっくりと注射し,その後の刺入は麻酔の効いた範囲の最外側に注射しながら,唇側歯肉頬移行部 → 唇側歯間乳頭部 図9a,b 唇側アプローチが勧められる埋伏位置①.a:逆生の過剰歯が₁根尖上方,鼻腔底直下に埋伏している.b:唇側歯肉に切開を加え,前方から梨状口下縁の骨を削除して抜歯した.ab図10a,b 唇側アプローチが勧められる埋伏位置②.a:₁₁歯根間に逆生の埋伏歯を認めた.b:₁₁歯根を損傷しないよう注意して唇側から抜歯した.ab35

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