正しい臨床決断をするためのエビデンス・ベースト・インプラントロジー
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1065章Bio-Ossと混合する自家骨の割合が増生結果に及ぼす影響 前述のソーセージテクニックに限らず、その骨形成能に期待して自家骨を骨補填材と混合し使用することが臨床的には多い。では、混合する自家骨の割合によって、その後の骨増生の結果は異なるのであろうか。 Bio-Ossに混合する自家骨の割合を変えた2種類の混合骨補填材(自家骨が10%と40%)を作製し、その増生結果を比較検討したランダム化臨床研究が報告されている18)。2種類の異なった混合比の骨補填材を同一患者の左右側にランダムに用い、Bio-Gideとともに設置したところ、自家骨の混合比が多い群(40%)では混合比が少ない群(10%)と比較して増生後の吸収量が少なく、増生後7.5ヵ月に獲得された水平的な増生量は有意に多かった(図7、表4)18)。一方、増生後8ヵ月に採取された組織切片から、増生された硬組織の質(残存しているBio-Oss、骨、軟組織の割合)に関しては、自家骨の混合比によって差はなかったとされている。すなわち、混Bio-Ossに混合する自家骨の割合に関するエビデンスとなる文献13名の患者を対象にしたスプリットマウスランダム化比較試験。歯槽頂から3mm歯頚側のポイントの骨幅を計測している。自家骨を多く混合した群のほうが、増生後7.5ヵ月の吸収量は有意に少なく、得られた増生量は有意に多かった。増生後8ヵ月の組織切片では、自家骨の混合比にかかわらず増生組織の質に差はなくなっていた。増生後7.5ヵ月以降は自家骨の混合比にかかわらず吸収量に差はなく、ボリュームは安定している。自家骨が多い群のほうが吸収量は少ないが、それでも約40%のボリュームが吸収する。図7、表4 混合比率の違いによる増生後の増生幅と組織学的な差異 Mordenfeld Aら201418)(ランダム化比較試験)より引用・改変症例は自験例3mm術前(A)増生直後(B)7.5ヵ月後(C)表5 混合比率の違いによる荷重後2年の増生幅の差異 Mordenfeld Aら201719)(ランダム化比較試験)より引用・改変Bio-Oss:自家骨術前の骨幅(A)増生直後の骨幅(B)7.5ヵ月後の骨幅(C)獲得された増生幅(C-A)増生後の吸収量(B-C)90:103.1mm8.8mm6.0mm2.9mm46.9%60:402.7mm8.3mm6.2mm3.5mm37.0%有意差なしなしなしありありBio-Oss:自家骨術前の骨幅(A)増生直後の骨幅(B)7.5ヵ月後の骨幅(C)荷重後2年後の骨幅(D)増生直後からの吸収率(B-D)90:103.1mm8.8mm6.0mm5.7mm54.4%60:402.7mm8.3mm6.2mm6.1mm37.5%有意差なしなしなしなしあり3mm

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