正しい臨床決断をするためのエビデンス・ベースト・インプラントロジー
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107段階法GBRが必要なインプラント治療合する自家骨の割合が少ないと、獲得される増生量は少ないが、骨質自体は自家骨を多く混合した群と差がなかったとされている。 また、増生後7.5ヵ月から上部構造装着後2年までの骨吸収量は両群ともたいへん少なく、増生されたボリュームは非常に安定していた(表5)19)。着目すべきは、自家骨を多く混合している群でも増生後の吸収率は40%近くにまで達することである。そのために、術後の吸収量を見越して填入する混合骨補填材の量を設定する必要がある。この骨吸収は、外側からの圧が集中する増生領域のショルダー部分で顕著であり、インプラント埋入時に追加のGBRが必要になる場合も多い。そのため、ショルダー部分の吸収量を抑制したい場合は、水平的な増生が目的であっても、付与した三次元的形態を維持しやすいチタンフレーム付き非吸収性メンブレンやチタンメッシュが有利であると考えている。4非吸収性メンブレンを用いた段階法GBRd-PTFEメンブレン e-PTFEメンブレン(GORE-TEX)(4章参照)が発売中止となった後、よく用いられている非吸収性メンブレンの一つ症例4:水平・垂直GBRへのチタンフレーム付きd-PTFEメンブレンの適応症例4-a 患者は37歳、女性。3に内部吸収が認められ、保存不可能と判断した。抜歯後2ヵ月、歯槽堤は水平・垂直的に大きく吸収している。症例4-b、c フラップを剥離すると骨吸収は唇側にとどまらず、口蓋側にまで達していた。そのため、チタンフレーム付きd-PTFEメンブレン(Cytoplast)を用いてGBRを行うことにした。bc症例4-d、e Bio-Ossと自家骨の混合骨補填材を、CytoplastとTiピンを用いて固定し、閉創した。非吸収性メンブレンを用いる場合、填塞する骨補填材の量は増生したい量だけでよく、過剰に填塞する必要はない。ただし、天然歯から1mm離してメンブレンを設置する必要がある。症例4-f、g 9ヵ月後の口腔内写真。歯槽堤は垂直・水平的に増生されているが、メンブレンを設置している唇側粘膜の厚みが薄くなっている(黄矢印)。また、角化組織幅も減少している。fgde

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