正しい臨床決断をするためのエビデンス・ベースト・インプラントロジー
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157硬組織の合併症とそのリカバリー参考症例2-a、b 患者は65歳、女性。4部へのインプラント埋入前のCBCT画像。ナロータイプのインプラントであれば母床骨内に埋入可能であるが、頬側に2mmの骨幅を得るためにはマイナーGBRが必要である。しかし、頬側の骨形態がフラット(青矢印)であるため骨補填材と吸収性メンブレンを置くだけでは骨補填材の安定化は図れないと判断した。4部ab参考症例2-c、d インプラントを母床骨内に埋入し、フラットな頬側骨に対してBio-OssとBio-Gideを設置し、骨補填材の安定化を図るため、骨膜水平マットレス縫合を用いて固定した(この時、骨補填材はインプラント直上まで留置すべきであった)。参考症例2-e 3ヵ月後にリエントリーを行った。4部インプラント頬側にはGBRで増生された硬組織が確認できる(白矢印)。骨膜縫合によってメンブレンを固定し、骨補填材の安定化を行ったことの一定の効果が認められる。cd参考症例2-f、g 増生後4ヵ月のプロビジョナル装着時のCBCT画像。埋入されたインプラント頬側に厚みのある増生された硬組織を認める(青矢印)。ただし、GBR時に骨補填材をインプラント頬側のみに留置し、インプラント直上にまで留置しなかったため、もっとも厚みが必要なインプラントプラットフォーム部分における増生量(赤矢印)が少ないことに注目されたい(図1参照)。参考症例2-h 増生後1年のCBCT画像。インプラントプラットフォーム部の骨の厚みは十分ではない(赤矢印)が、安定しているように見える。fg この手法であれば、追加のコストや追加の外科処置も不要であるため、臨床医にとって受け入れやすい手法であろうと考えている。また、審美領域におけるインプラント唇側の裂開状骨欠損に対しても、Contour Augmentation Techniqueに骨膜水平マットレス縫合を追加することで、インプラントのプラットフォーム部分に、より厚みのある唇側骨を得やすい臨床実感を持っている(参考症例4、5)。 ただし、骨膜水平マットレス縫合による骨補填材の固定は、Tiピンなどを用いた固定と比較すると弱いため、連続した欠損部のような広い術野に対しては、その固定力に限界があることも申し添えておく(症例7)。つまり、確実性をとるならば、やはりTiピンなどを用いた固定を検討する必要があると考えている。参考症例2:フラットな骨面に対する骨膜水平マットレス縫合を用いたGBR①

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