正しい臨床決断をするためのエビデンス・ベースト・インプラントロジー
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189軟組織の合併症とそのリカバリー症例5-i 同時期の咬合面観。jk症例5-j、k 二度目の移植片除去。今度は残存している上皮組織の取り残しがないように摘出範囲を大きく設定し、摘出深度は骨側に骨膜のみを残すこととし、移植片をすべて摘出することを心掛けた。症例5-l 移植片除去後6週。排出運動は停止した。③②112③プロビジョナルブリッジが装着されている。症例5-m 排出運動の停止を3ヵ月確認した後に、左右の口蓋から2枚の結合組織を採取し、再び歯槽堤増大術を行った。この時の結合組織採取方法は、口腔内から上皮下の結合組織のみを採取する術式(図3参照)を選択した。症例5-n 術後6ヵ月の最終補綴装置装着時。症例5-o 最終補綴装置装着後1年6ヵ月。幸い排出物の再燃は認めていない。このケースから、①用いる結合組織移植片に上皮を残さないこと、②それでも上皮の排出運動が起こってしまい、移植片を摘出する必要がある場合は、移植片を取り残さないように摘出範囲を大きく設定し、全摘出するつもりで摘出術を行うことの2点が重要であることを学んだ。

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