子どもたちが上手に噛める・食べられる・呼吸できるようになる本
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 そもそも今の日本の子どもたちは健康なのでしょうか? まずは,今の日本の子どもたちの健康の状態について全体像をつかみましょう! 日本の子どもの体格は,以前に比べ身長・体重ともに向上しています(図1).しかし,体力・運動能力は低下しているようです(図2).これは「生きる力」という点で,少し心配な結果です.文部科学省は,子どもたちが健康な生活を送るために必要な力として,図3に示す項目を挙げています. さらに子どもの生活習慣の問題として,中央教育審議会配付資料のなかで,以下を指摘しています.・睡眠時間の短縮・運動量減少・食生活の乱れ これらはもちろんどれも重要な問題ですが,私たちは歯と口の専門家として,このなかでも「食生活日本の子どもたちは健康なのか?3130135140145150155160165170175180(身長)111417(年齢)140.8145.3160.9165.5168.3170.91971年度2001年度図1a,b 平均身長(a)と平均体重(b)の推移(男子).身長,体重など子どもの体格は向上しており,文部科学省「学校保健統計調査」によると,2001年と親の世代である 1971年(30年前)と比較すると, 11歳, 14歳,17歳男子いずれも体格で親の世代を上回っている.しかし,体格が向上しているにもかかわらず, 図2のように体力・運動能力が低下しており,体力の低下が深刻な状況であることを示している.(文部科学省.子どもの体力向上のための総合的な方策について[答申].https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/021001.htmより引用改変.)▶子どもの体格は大きくなるが運動能力は……(図1,2)図2a,b 持久走にみる子どもの体力・運動能力の推移.持久走の年次推移 (a).親の世代と子の世代の比較(b).文部科学省が1964年から行っている「体力・運動能力調査」によると,子どもの体力・運動能力は,1975年ごろから1985年ごろまでは停滞傾向にあり,1985年ごろから現在まで15年以上にわたり低下傾向が続いている.持久走(男子1,500m,女子1,000m)で, 13歳女子は, 1985年を最高に2000年では25秒以上遅くなっている(a). 図1同様1970年調査と比較すると,例えば,持久走では各年齢で,子どもの世代が親の世代を下回っている(b).(文部科学省.子どもの体力向上のための総合的な方策について[答申].https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/021001.htmより引用改変.)010203040506070(体重)111417(年齢)2602803003203401213141516171819(年齢)(秒)4101980390370350330310290270250(秒)1985199019952000(年度)34.239.550.155.558.962.81971年度2001年度1970年度2000年度13歳男性13歳女性18歳男性18歳女性PartⅠ 子どもたちの口腔の現状と今後のストラテジーabab13平均身長(男子)平均体重(男子)010203040506070(体重)111417(年齢)2602803003203401213141516171819(年齢)(秒)370350330310290270250(秒)34.239.550.155.558.962.81971年度2001年度1970年度2000年度13歳男性13歳女性18歳男性18歳女性親世代より子世代が遅い持久走:親と子の世代比較010203040506070(体重)111417(年齢)2602803003203401213141516171819(年齢)(秒)4101980390370350330310290270250(秒)1985199019952000(年度)34.239.550.155.558.962.81971年度2001年度1970年度2000年度13歳男性13歳女性18歳男性18歳女性85年以降だんだん遅くなっている持久走:13歳と18歳の年次推移ab

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