子どもたちが上手に噛める・食べられる・呼吸できるようになる本
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 離乳食は,身体を大きくするために,より栄養価の高い食べ物を取り込むための咀嚼のトレーニングです.しかし,母乳という液体から固形物に変わるわけですから,スムーズに進みません. 赤ちゃんにとっては,未知の物体(食物)を口に入れる行為で,乳児嚥下*から成人嚥下**への移行期でもありますので,上手に食べられないのは当然です.スムーズに食べられないことを心配しすぎるあまり食べやすさに重きをおくと,とても軟らかいものが中心になります.また,手や顔を汚すことをよしとしない保護者が増えているため,スプーンで流6~12か月頃の「栄養(食)指導」1し込める食事が中心になりがちです.どろどろとした離乳食を多用し,口唇や前歯を十分に使わないまま成長している赤ちゃんが増えています.このことが前歯部歯槽骨(切歯骨)の成長を不十分にしているとも考えられますし,舌をしっかりと口蓋へ当てて飲み込むことも大切です.口蓋の形は,舌機能を表しています.舌筋を含めた口腔周囲の筋肉を育てるため,手づかみ食べによる離乳食6〜8をすすめてい図14b〜d 手と口をしっかり使って食べる.手づかみ食べは舌筋を含めた口腔周囲の筋肉を育てるためにも有効.何度もさわったり口に入れたりして学習していく.大人の「食べてもいいよ」という笑顔のメッセージも大切.▶[栄養(食)指導] 手づかみ食べによる赤ちゃん主導の離乳食動画6図14a 手づかみ食べによる離乳食は,赤ちゃんの咀嚼能力,手指の巧緻性,口と手の協調運動を発達させる.* 乳児嚥下:生まれた時から備わっている反射運動.**成人嚥下:離乳期以降,発達にともない獲得する学習運動.動画7bcda74動画5

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