子どもたちが上手に噛める・食べられる・呼吸できるようになる本
9/11

 子どもの活動性が高まり,自分の身体にも興味をもつ時期です.本人へは「ちゃんと来てくれてるから,むし歯は大丈夫です! でも歯ぐきは少し腫れてるから,たまにはお家の人にチェックしてもらってね.むし歯にならないようにフッ化物も使いましょう! (口呼吸の場合)口を閉じたら歯並びにも歯ぐきにもいいし,もっとかっこよくなるから口は閉じる!」とアドバイスしています.保護者へのトーク法 側方歯群が萌出を迎え,咬合状態が安定に向かう時期です.叢生や前歯部カップリングの状況は保護者にとっても関心が高く,また,今後の咀嚼様式にも大切な時期です. 女子はとくに身体の成長が著しい時期でもあり,可撤式の機能的矯正治療を行う場合は最適な時期にも重なります.治療を行う際は身長と体重の変化を把握して,最大限の効果を発揮できるよう説明します. また,噛み合わせが悪く,これまで前歯で噛み切った経験がない子どもは,矯正治療をしても前歯の使い方がわかりません。当院では,パラフィンワックスを用いて前歯を使う感覚を学習してもらいます(図81). 10~12歳頃の「咬合・姿勢」3そして,12歳前後で第二大臼歯の萌出方向異常や智歯の有無について,パノラマエックス線写真による2回目の全顎的スクリーニング(自費)を行います(図82〜87).ポステリアディスクレパンシーによる下顎第二大臼歯の近心傾斜や舌側傾斜の兆候を確認し,場合によっては智歯の抜歯を行うことで,できるだけこれを回避します. この時期の後半は,矯正二期治療の適応にもなってきます.萌出状況に合わせて,審美的あるいは機能的な問題について情報提供を行い,矯正二期治療の説明を行います.同時にMFT(口腔筋機能療法)も必要となります.不正咬合がある場合,大半は機能の不具合もありますので,口腔機能への対応は矯正二期治療を行う場合でも必須です(図88).矯正治療終了後,噛み切る練習前うまく噛み切れない噛み切る練習後スムーズに噛み切れる図81a,b 当院で行っている,前歯で噛む練習.噛み合わせが悪く,前歯で噛んだことがない子どもは,矯正治療をしても前歯で噛み切ることができない.そこで当院では前歯で噛むことを指導する際,パラフィンワックスを使って噛み切る感覚を学んでもらう.ab▶[咬合・姿勢] ワックスを使い前歯で噛み切る練習を行う動画15動画14120

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る