土屋和子が患者さんに伝える言葉のルールと引き出し
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患者さんに受け入れられやすい禁煙指導をしよう 先述のとおり、禁煙指導をしたがらない歯科医療者も少なくありません。その1つの理由として、「相手の機嫌を損ねる」「どうせ、話は聞いてもらえない」など、話す前から「話す勇気」がないのではないかと思います。しかし、喫煙の影響を患者さんに知らせずに歯周治療を行うのはプロフェッショナルとはいえません。その一方で、喫煙の影響をただ説明するだけでは、患者さんに受け入れてもらえず拒否されてしまうこともあります。 ここでは、筆者が実際に行っている禁煙へ誘導するコツをご紹介します。 いきなり説明するのではなく、一言前置きをはさんでから話すようにしましょう。その際、必ず患者さんの名前を入れると、「あなたのための話」と思ってもらえてより効果的です。前置きの例「○○さんには、なんとしても健康になっていただきたいと思います」「○○さんには、もっと噛めるようになり、食事を楽しんでいただきたいです」「○○さんの歯周病が改善することにご協力いただけますか?」「○○さんにとって、耳の痛い話になることは承知のうえでお願いがあります」「○○さんも“いつかは禁煙しないといけない”と思っていらっしゃったのではないでしょうか?」1説明する前に、前置きを入れる 「タバコ」と聞いただけで、「吸いたい」と反応してしまうのがヘビースモーカーです。会話の中ではなるべく「タバコ」ではなく、「喫煙」と言うようにします。2なるべく「タバコ」という言葉を使わない42第2章 最新の病因論や知識をベースに チェアサイドで伝える・確認する疾患と生活習慣

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