鼻呼吸 歯医者さんの知りたいところがまるわかり
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6523Chapter○△V型口蓋と呼吸 写真のお子さんは腎臓病を指摘されていますが(Chapter17参照)、鼻呼吸がしづらいという主訴で受診されました。咀嚼や嚥下にも問題があり(Chapter11参照)、扁桃肥大もあります。上顎はV型をしており鼻腔は狭小で、思うように鼻呼吸できないのが一目瞭然です。こうなると歯科的矯正治療の力を借りるのが一番の近道だと判断しました。歯列だけでなく、鼻呼吸のためにも上顎の形を整える必要があります。 もし家族の誰かがこの子がもっと小さいときによく噛むことや鼻呼吸の大切さを知っていて、何らかの処置を施しておくことができれば、腎臓病にはならなかったのじゃないかと悔やまれます。歴史に「もし」はありませんが、できるならこのようなケースを少しでも減らしたいものです。 硬口蓋の横径と鼻腔容積は関連しており、横径が大きくなると鼻腔容積も広がります。そもそもヒトは、他の動物と比べても極端に多くの(60%以上)鼻中隔弯曲症が認められます。そのため鼻閉など鼻症状が起こりやすく、口呼吸になりやすい素地があります。V型口蓋は早期に発見・対応しよう〈参考文献〉1. 増田純一. Health DentistryII(健口歯科)~フレイル予防は口にあり~. 東京:グレードル,2017.2. 西村忠郎. 口呼吸の解剖-口腔・咽頭形態を中心に-. JOHNS 1996:12(5);652.正常児の口蓋アデノイド患者の高位口蓋参考文献2より許可を得て転載右図は、持続する開口のために硬口蓋は内下方からの舌背の支持を失い、外側方から頬部の圧迫を受けて、横径は狭く上方に深いアーチを作る。V型の患者さんには、「小さな(V型)駐車場には肺気量の小さな軽自動車しか止められないけれど、大きな(○型)駐車場には大排気量の大型車も止めることができます。鼻の土台は口ですから、大きな方がよいのです」などと伝えています。

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