もっと使える超音波スケーラー
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第2章超音波スケーラー概論 本来、治療は「過不足なくちょうど良い」という方法で行われるのが理想です。オーバートリートメントになれば治癒は得られるものの侵襲は大きく、アンダートリートメントでは侵襲は少ないが治癒が得られず再治療が必要になります。しかし、実際の臨床では「ちょうど」で終わることはほぼ不可能です。わずかなオーバーで終われることが現実的な目標となるでしょう(図2-16)。 具体的には、治療の目的・内容によって、オーバーでの侵襲の重大さ、アンダーでの再治療時の負担の大きさを考慮してどこを目標とするかを決めます。歯周外科ではアンダーで再手術となれば患者への負担が大きくなるため、オーバーになっても確実な感染除去が図2-16 アンダートリートメントとオーバートリートメントの概念理想的なのは侵襲がもっとも少なく確実な治癒が得られる「過不足なくちょうど良い」状態だが、臨床では「ちょうど」のポイントが明確に得られない。治療の段階や手技によりその目標は変わってくるが、「わずかにオーバートリートメント」を最終目標に置くのが現実的ではないだろうか。超音波スケーラーとハンドキュレットの使い分け必要となります。しかし、歯周基本治療では時間的に余裕があるなら、できるだけ侵襲を少なくします。 筆者のおすすめは、経験の浅い歯科衛生士なら超音波スケーラーを主として用いることです。深い複雑なポケットではハンドキュレットを用いるか、超音波スケーラーでデブライドメントを行い、再評価後に治癒が得られていないところのみを再度ハンドキュレットでSRPを行うとよいでしょう。 ベテラン歯科衛生士ですでにハンドキュレットで十分な成果を上げていれば、特にそれを変える必要はありません。しかし、超音波スケーラーを併用すればより効率的で患者さんの負担を軽減することができます。CHECK理想的な“ちょうど良い”アンダートリートメントオーバートリートメント治癒せず治癒侵襲大小現実的な目標25

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