ホームドクターによる小学校2年生までに始める拡大床治療
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72Chapter4 拡大床治療の実際拡大床セット時の確認事項03確認すべきポイント   拡大床セット時には,適合状態を確認するところから始める.子どもたちの口腔内は印象採得後の短期間でも変化するので,適合が悪いと感じた場合には,萌出中の第一大臼歯や切歯付近を確認し,調整することで改善することが多い.装着していて痛みがないかを確認し,アダムスクラスプの維持力が弱い場合には調整する.唇側線の役割は前歯部の位置の調整であるが,通常は口唇の力で位置が決まってくるので,唇側線は前歯部唇側面に当たらないように調整しておく. 拡大床を,パーシャルデンチャーのように上下の装置を装着した状態でうまく咬合させなければならないと考えがちであるが,装置を装着した状態で食事をするわけではないので,装着時に上下の咬合接触を考える必要はない.そのため,上下に装置を装着した状態で咬合関係を調整するようなことはしなくてもよい.子ども本人に着脱をさせて,できるかどうかを確認するが,本人にできない場合には親に確認してもらわなければならない.はじめかた須貝歯科医院矯正治療のはじめに  装着した矯正装置は顎の発育を促す装置です。顎が小さくて歯が並びきらない場合、この装置を使用して顎を大きくきれいな歯並びを目指していきます。取り外しが可能な装置のため装着時間によって効果が大きく違ってきます。はじめのうちからできるだけ長い時間入れておく習慣をつけておきましょう。  また保護者の方にネジを回してもらい、拡大していく装置のため拡大するのを忘れてしまうと顎の成長を促すことが出来ません。拡大する日にちをしっかり決めて行いましょう。この装置が使用できるのにはタイムリミットがあります。装置の入れ忘れや拡大し忘れが出来るだけないように今日から一緒に頑張りましょう。 装置について  装置には上下がありますので見分けて入れるようにして下さい。ワイヤーが歯に引っ掛かることによって装置が安定しています。またネジがついているのでそのネジ穴にバーを差し込み矢印方向に動かすことによって拡大されます。      上の装置下の装置ネジを回すことによって少しずつ装置が拡大します拡大時に使用するバー装置の入れ方  基本的に装置はお子さんに着脱してもらいます。ワイヤーを基準にして装置が歯に合う所まで入れます。装置のピンク色の部分( 前方★と後方★ )に分けてしっかり指で押し込み装着します。このときに装置にかたつきがないか確認しましょう。 気をつけて欲しいこと... ①装置の取り扱いに慣れてくると指を使わずに装置を噛んで装着することがあります。装置が壊れることがあるので注意しましょう。 ②装置がしっかり定位置に入っている感覚を身につけて下さい。装置が浮いた状態でお口の中に入れていても装置の効果が発揮されません。 装置の外し方 装置の奥歯にかかっている左右のワイヤーを両手で引っ掛けて外しましょう。 気をつけて欲しいこと... ①装置を外すときは必ず両手で行って下さい。 ②前方のワイヤーに指をかけて外すと変形することがあります。 abc図1a〜c 拡大床セット時に渡している使用上の注意事項を記したパンフレット.前もって説明しておくことも大切だが,すべてを伝えられるわけでもないので,お家でよく読んでもらうことにしている.

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