ホームドクターによる小学校2年生までに始める拡大床治療
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148Chapter5 拡大床治療の注意点拡大床装置の不具合,破損などへの対応03拡大床の特徴的な不具合   拡大床治療を行っていると,装置のいろいろな不具合に出会う.基本的には通常のパーシャルデンチャーと同様の対応をしていけばよい.拡大床で特徴的な不具合で一番多いのは拡大ネジの緩みである.家庭では間違いなく2週間に1度拡大を行ってもらっているのに拡大が進まないことがある.2か月に1度の調整時に拡大具合をノギスで測定するが,拡大ができておらず逆に縮んでいることもある.拡大床の使いはじめは順調に拡大していくが,6㎜を超えた頃からネジの緩みが生じてくる.現状で確実な解決策はないが,即時重合レジンをネジの間に流して硬化させ,後戻りが起こらないようにしたり,拡大量がまだまだ足りない場合には,拡大床を新製することが勧められる(Chapter 4 ⓽を参照). もう1つは,アダムスクラスプや唇側線の破折である.拡大床は装着した状態での咬合接触を考えていないので,クラスプが早期接触することが多い.咬合力が強い子どもなどでは,クラスプがたわんだり破折したりすることもある.あるいは着脱時に力がかかって,クラスプが破折することもある.アダムスクラスプが破折した場合には,クラスプのみを新製して,義歯修理の要領で拡大床のクラスプを交換すればよい. 次に多いのは,拡大床のレジン床部分の破折である.通常の使用で破折することは考えられないが,今まで経験した破折の事例を挙げると,寝ている間に外してしまい潰してしまった,犬にかじられた,図1b 床の中にできたネジの空洞部分を削り,レジンで埋めて後戻りしないようにする.図1a 後戻りしないようにレジンを足す.

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